セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のスーパー、イトーヨーカ堂は29日、家庭から出る廃食油を店舗で回収する取り組みを令和7年度までに国内全店舗に拡大すると発表した。
セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のスーパー、イトーヨーカ堂は29日、家庭から出る廃食油を店舗で回収する取り組みを令和7年度までに国内全店舗に拡大すると発表した。回収した廃食油は加工して持続可能な航空燃料(SAF)との原料としてENEOS(エネオス)に供給し、航空業界の脱炭素化を後押しする。
イトーヨーカ堂は昨年からエネオスなどと共同で東京都内の店舗で家庭系廃食油の回収を開始。現在は全国で計30店舗で回収し、石鹸やインク溶剤などの原料として再利用している。
今後は廃食油の回収を全店舗に広げ、再利用を本格化する。7年度までに累計25トンの回収を目指す。SAFとして利用すると、航空機が3千キロメートル飛行することができるという。
背景には、国内で年間約10万トンの家庭系廃食油が発生しているが、ほとんどが再利用されずに可燃ごみとして廃棄されていることがある。SAFの原料に利用できることから廃食油が世界で争奪戦となる中、国内で回収を進めるには「毎日買い物をする店舗はうってつけの場所だ」と担当者は話す。
一方、エネオスは石油精錬を止めた和歌山製油所(和歌山県有田市)で9年からSAFの生産を始める。年間生産規模は40万キロリットルを計画するが、それには50万キロリットルの原料が必要となり、原料の確保が課題になっている。
エネオスは現在、イトーヨーカ堂以外にも牛丼店「すき家」などを展開するゼンショーHDと店舗で排出される廃食油を回収することで合意するなど、廃食油の再利用で15社と契約する。だが、それでも「必要なSAFの原料を確保するのはかなり厳しい」(エネオスの古谷大介バイオ燃料部部長)といい、海外からの輸入などで原料をかき集める必要がある。
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明治学院大学 経済学部准教授