クラフトビールの品質向上をテーマに試飲しながら製法などについて意見交換し、キリンビールは食品安全に関する同社の取り組みなどを紹介した。関係者たちは横浜のクラフトビール文化を醸成、発信する一歩と位置付け、今後も交流を続ける。
日本のビール発祥の地とされる横浜でクラフトビールを作るブルワリー(醸造所)がキリンビール横浜工場(横浜市鶴見区)と交流会を開いた。クラフトビールの品質向上をテーマに試飲しながら製法などについて意見交換し、キリンビールは食品安全に関する同社の取り組みなどを紹介した。関係者たちは横浜のクラフトビール文化を醸成、発信する一歩と位置付け、今後も交流を続ける。
9月下旬、キリンビール横浜工場の一室でコの字形に並べられた机の上にブルワリーが持参したビールが並べられ、それぞれの前に人の輪ができていた。作業服姿のキリンビールの従業員たちはビールの香りを真剣な様子で確認し、口に含んだ。
「麦の香り、おいしさが最大限、引き出されている。すごく工夫されている」。醸造担当の女性従業員が笑顔で感想を述べると、ブルワリーの男性は「マイナーチェンジしながら試行錯誤してきた」と声を弾ませた。
交流会は横浜のブルワリーの団体でイベント開催などに取り組む横浜クラフトビアマルシェ実行委員会の斎藤健吾代表がキリンビール側に打診した。平成6年の酒税法改正でビールの製造免許をとるのに必要な最低製造量が引き下げられて各地でブルワリーが誕生。斎藤氏によると、横浜には9月下旬時点で15を超えるブルワリーがあるといい、「交流会をきっかけにして、ビールの街として横浜を盛り上げていきたい」と考えたという。
味や製法にこだわり、個性豊かなブルワリーにとっては大手メーカーの「おいしいものを安定的に作り続けるノウハウ」に接することも貴重な機会になるといい、横浜を中心に14のブルワリーが参加。試飲に先立って行われた安全管理に関するキリンビールの紹介では設備洗浄、微生物管理の注意ポイントなどについて具体的な説明が行われた。
「REVO BREWING(レボ ブルーイング)」(横浜市中区)の醸造責任者、水沼泰樹さんは「安心安全について生物的、科学的、物理的な要因を踏まえた客観的なものが大事だと気付かされた」と語り、「横浜全体で品質、安全管理の考え方を高めていきたい」と力を込めた。
横浜は明治時代に国内最初のビール醸造所が開設され、ビール発祥の地と位置づけられている。キリンビール横浜工場は「ビール発祥の地横浜をビールの街横浜にしたい」としており、ブルワリー側の声を踏まえて交流の企画を検討していく。
斎藤さんは「ビール離れといわれているが、交流活動などを通じて横浜のビールの多様性、面白さを伝えたい」と意気込む。(高久清史)
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