スパコン「富岳」で竜巻予測可能に 世界初、富士通と横国大開発 実用化へ精度向上進める

富士通と横浜国立大は12日、スーパーコンピューター「富岳」を使い、台風に伴って発生する竜巻を予測する世界初のシミュレーション技術を開発したと発表した。

» 2025年02月13日 09時17分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 富士通と横浜国立大は12日、スーパーコンピューター「富岳」を使い、台風に伴って発生する竜巻を予測する世界初のシミュレーション技術を開発したと発表した。実用化はまだ先だが、防災に貢献できるよう、今後も精度向上などを進める。

 研究チームによると、日本で発生する竜巻の約2割が台風に伴っている。

昨年8月の台風10号に伴って発生した竜巻の再現。赤い部分が竜巻と思われる強い渦状の強風(横浜国立大提供)

 竜巻は比較的小規模で急に発生するため、予測が難しい。大きさが直径数百キロメートルにもなる台風と、大きくても同数百メートルほどの竜巻では千倍のサイズ差がある。竜巻の発生を再現できるほど高い解像度で、台風全体の広い領域をシミュレーションするには膨大な計算量が必要だが、富岳を使うことで可能となった。

 従来は4時間後の竜巻発生を予測するための計算に11時間以上かかったが、今回の技術で約1時間20分に短縮。竜巻の発生前に予測できるようになった。昨年8月に九州地方で竜巻被害をもたらした台風10号でシミュレーションしたところ、九州東岸で発生した多数の竜巻の再現に成功した。

 ただ、発生時間で数十分から1時間ほど、発生場所は数キロから10キロ程度の誤差があるという。横国大の坪木和久教授は「防災につながるものにするため、より精度の高い予測ができるよう研究を進めたい」と話した。

台風に伴う竜巻の予測技術について発表する、横浜国立大の坪木和久教授=12日、東京都千代田区(松田麻希撮影)

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