住友化学、脱炭素化へ他社との共同事業体を視野 水戸信彰社長インタビュー、新たな再編も

住友化学の水戸信彰社長は11日、産経新聞などのインタビューに応じ、石油化学製品の脱炭素化(グリーン化)に向けて他社と連携した事業体づくりを目指す考えを明らかにした。

» 2025年06月12日 11時13分 公開
[産経新聞]
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 住友化学の水戸信彰社長は11日、産経新聞などのインタビューに応じ、石油化学製品の脱炭素化(グリーン化)に向けて他社と連携した事業体づくりを目指す考えを明らかにした。中国の過剰生産で石化製品の市況が悪化する中、投資負担の大きさを考えるとグリーン化を「個社で全部やるのは難しい」と述べた。

インタビューに答える住友化学の水戸信彰社長=11日、東京都中央区

 石化業界では、中国の過剰生産と国内需要の縮小を受け、プラスチックやゴムなどの基礎原料の既存生産設備を再編する動きが進んでいる。住友化学も、コスモエネルギーホールディングス傘下の丸善石油化学と、2026年度をめどに千葉県のエチレン生産設備を集約。丸善石油化学が自社設備を停止し、住友化学との共同出資会社の京葉エチレンに一本化する。

 水戸氏は、中国の増産をみると、中期的にも市況の改善は見込めないとする一方、メーカーの責任として「暮らしに不可欠な石化製品のグリーン化を進めて、国内で自給できる持続可能な体制は整えないといけない」と指摘。中国の過剰生産を前提に、それを実現していくには他社と連携した事業体が必要だとした。

 住友化学は、二酸化炭素(CO2)からメタノールを、エタノールから基礎原料を製造する環境負荷低減技術などの開発を進めている。ただ、水戸氏は、他社が取り組んでいるものを含め、グリーン化の技術は「どれが本流になるのか。決め打ちはリスクがある」とし、研究開発段階からのパートナーシップが必須になるとの見方も示した。

 化学大手では、三井化学が既に他社との連携をにらみ石化事業を27年をめどに分社化する方針を打ち出しており、今後、グリーン化の推進に向けた提携や事業再編の動きが広がる可能性がある。

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