コクヨ、ベトナム文具大手を276億円で買収 国内市場縮小で海外展開を強化

[産経新聞]

　コクヨは4日、ベトナムの文具大手、ティエン・ロン・グループ（TLG）を買収すると発表した。TLG株の最大65.01％を約276億円で取得する。コクヨとしては過去最大規模の買収となる。2026年11月に取引を完了する計画。

ベトナムのティエン・ロン・グループの買収についてオンラインで記者会見するコクヨの黒田英邦社長（左）ら＝4日午後、大阪市

　TLGはボールペンなどの製造や販売を手掛け、2024年12月期の連結売上高は224億円。東南アジア諸国連合（ASEAN）での販売に強みを持つ。一方、日本国内の文具市場は少子化による人口減で伸び悩み、コクヨには買収により筆記具の商品力を強化し、海外での販路を広げる狙いがある。

　資産管理会社、ティエン・ロン・アン・インベストメント（TLAT）の全株式を取得し、同社が保有するTLG株式の46.82％を間接的に取得するとともに、TLG株のTOB（株式公開買い付け）を行うことで、TLG株の65.01％を取得する。

　コクヨの文具事業の海外売上高比率は24年度で約34％。これを27年度には40％に高める目標を掲げている。同社はこれまで、欧米での筆記具販売を展開するぺんてる（東京）の買収を仕掛けたこともあった。

　コクヨの黒田英邦社長は記者会見で「中長期的に、筆記具市場の獲得にはグローバルに取り組む」とし、アジアにとどまらず欧米や中東などの市場開拓も視野に入れる考えを示した。（田村慶子、写真も）