警視庁野方署と帝京平成大がタッグ 特殊詐欺啓発などテーマに動画作成、AIも活用

警視庁野方署が、管内にある帝京平成大人文社会学部の学生と広報啓発の協定を結び、連携。今後も投稿を続ける予定で、官民一体の取り組みとして注目されている。

» 2025年08月07日 09時28分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 警察と動画編集・制作などを学ぶ大学生がタッグを組み、AI(人工知能)などを用いて作成した特殊詐欺被害防止の啓発動画が、先月30日から動画投稿サイト「ユーチューブ」上で公開されている。警視庁野方署が、管内にある帝京平成大人文社会学部の学生と広報啓発の協定を結び、連携。今後も投稿を続ける予定で、官民一体の取り組みとして注目されている。

撮影された動画を確認する警視庁野方警察署の津熊光一警備課長(右)と帝京平成大の学生=6月16日、東京都中野区(佐藤侑歩撮影)

大学で学んだ技術を凝縮

 「あなたの携帯電話が犯罪に使われ、逮捕状が出ています」

 6月16日、東京都中野区の帝京平成大キャンパスで、近年多発している「警察官がたりの特殊詐欺」をテーマとする啓発動画の撮影が行われた。全世界に情報を伝達する手段として主流であるユーチューブを活用し、広く社会の防犯・防災意識を高めるのがねらいという。

 似顔絵捜査官になるための訓練を行った野方署員が描いたイラストや、同署の公認キャラクター「のが太くん」に、録音した署員の声をあてはめ、AIで動きをつけた。動画には、管内で出前型の講話や交通安全教室などの啓発活動を行っている「ふれあいポリス」も出演し、学生は大学で学んだ技術を生かして録音や撮影、素材の編集を担当した。

 作成に携わった帝京平成大の大山航平さん(20)は「警察の方に協力できるというのはうれしい。初めての試みだが、今回の動画が犯罪を抑止するきっかけになってほしい」と話した。

地域住民の声がきっかけ

 動画作成のきっかけとなったのは、令和6年12月、地域住民の代表者と野方署員が参加した協議会だった。これまで、署の広報はチラシや紙を使ったものが主流だったが、「よりよい方法があるのでは」との声が上がったという。署としても、デジタルを活用した広報活動の手段を模索していたところだった。

 協議を重ねていき、若い世代の意見も取り入れようと、学生に依頼。今回の共同動画作成に至った。学生は今後、1カ月に1本、「闇バイト」や「交通安全」をテーマに動画を投稿することを目標に、学業と両立させながら撮影や編集を進めるという。

広報啓発に関する協定を結んだ警視庁野方署と帝京平成大学の関係者=7月30日、東京都中野区(佐藤侑歩撮影)

 今回作成されたショート動画は、中野区の公式ユーチューブチャンネルで公開されている。野方署の津熊光一警備課長は「大学生と制作することで、警察だけでは見えない視点を得ることができた。多くの人に見ていただき防犯につなげたい」と語った。(佐藤侑歩)

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