稲作と太陽光発電を同じ場所で 千葉大柏の葉で実証実験、新規参入や経営安定化を後押し

千葉大柏の葉キャンパス(柏市)の水田で今月、農業と太陽光発電を同じ場所で行う「ソーラーシェアリング」の実証実験が始まった。従来のシリコン系太陽光パネルよりも軽く、柔軟性があるフィルム状の次世代型太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を使用する。イネの収穫量や品質への影響のほか、設備の耐久性や発電性能などについて比較検証し、社会実装の可能性を探る。

» 2026年05月21日 11時14分 公開
[産経新聞]
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 千葉大柏の葉キャンパス(柏市)の水田で今月、農業と太陽光発電を同じ場所で行う「ソーラーシェアリング」の実証実験が始まった。従来のシリコン系太陽光パネルよりも軽く、柔軟性があるフィルム状の次世代型太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を使用する。イネの収穫量や品質への影響のほか、設備の耐久性や発電性能などについて比較検証し、社会実装の可能性を探る。

photo ペロブスカイト太陽電池を設置した水田での田植え作業=11日、千葉県柏市(松崎翼撮影)

 実証実験の期間は3年間。千葉大のほか、ソーラーシェアリング事業を手掛けるTERRA(テラ、匝瑳市)や千葉銀行(千葉市)、太陽電池メーカーの積水ソーラーフィルム(大阪市)などが協力して取り組む。

 ペロブスカイト太陽電池は、本県が国内産出量の約8割を占めるヨウ素を主な原料とする。折り曲げることも可能で、曇天でも効率よく発電できるという。軽量のため、従来のパネルと比べて設置に必要な支柱の数も少なく、農作業のスペースも広く確保することができる。

 実証実験ではキャンパス内にある1100平方メートルの水田を活用し、ペロブスカイト太陽電池のほか、形状が異なる2種類のシリコン系パネルを設置。コシヒカリを育て、生育状況などを比較する。水田でのペロブスカイト太陽電池の設置は初めて。発電した電力は千葉大が買い取る。

 国内の農業現場では、担い手の減少や高齢化の進行などにより、労働力不足が顕著になっている。売電収入を得られるソーラーシェアリングは、農業の新規参入や経営の安定化につながる取り組みとして注目が集まっている。

 猛暑対策としても有効とされる。パネルの日傘効果により、コメの品質低下につながる高温障害を和らげる効果が期待されるほか、水田から発生する温室効果ガスのメタンガスを抑制できる可能性があるという。

 11日に行われた記念式典で、研究に携わる千葉大の塚越覚准教授は「生産者にとって、どのような経営的メリットをもたらすのか、科学的に検証する」と述べた。横手幸太郎学長は「この設備のもとで育まれる稲作が、持続可能な社会の実現に向けた一つの新たなモデルとなることを確信している」と力を込めた。(松崎翼)

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