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» 2009年02月26日 08時30分 UPDATE

逆境をはね返すサプライチェーン改革:「環境対策こそがコスト削減の近道だ」――ロジスティクスシステム協会・事務局次長 (1/2)

企業は単に利益を生み出すだけではなく、常にマーケットや消費者の要請にも応えなくてはならない。製造業が物流改革を進めるにあたり、双方を実現させるためのキーワードが「エコ」だ。

[伏見学,ITmedia]

本記事は、特集「逆境をはね返すサプライチェーン改革」のコンテンツです。関連記事はこちらでご覧になれます。




 もともと軍事用語だった「ロジスティクス」は、需要に対して調達、生産、販売、物流などのサプライチェーンプロセスを最適化するための手法を指す。太平洋戦争で日本軍が米国軍に負けたのはロジスティクス(兵站補給)戦略の差だと言われるほど、現代のビジネスにおいてもサプライチェーンは経営戦略の一端を担う。サプライチェーンの改革に取り組むことが競争優位性の確保につながるはずだが、課題も多い。その1つが環境問題への対応だ。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)で事務局次長を務める橋爪茂久氏に、企業が物流改革を進める上で避けては通れない、エコに対する取り組みを聞いた。


あらゆる部門の協力が必要

――製造業を中心とした日本企業のサプライチェーンに対する取り組み状況はいかがですか。

橋爪 ようやく考え方や手法が認知されてきた段階です。既に成果を出している先進的な企業もありますが、多くの場合はこれから実践するところでしょう。なぜ進まないのか。サプライチェーンを推進するためには企業における多くの関係部門の協力が必要です。物流部門やSCM(サプライチェーンマネジメント)部門だけが頑張っていても駄目です。製造や販売などの担当者にもサプライチェーンの考え方を浸透させないと、全体の効率は上がりません。

 加えて、今後は環境への配慮、コンプライアンス、セキュリティなどにも留意してサプライチェーン改革を進める必要があります。特に二酸化炭素(CO2)削減をはじめとする環境問題への取り組みは、市場や行政からの要請が強いです。


――CO2を削減するには、具体的にどのような手法が効果的なのでしょうか。

「サプライチェーンの効率化には社内外にわたる多様な利害関係者の相互理解が欠かせない」と語る日本ロジスティクスシステム協会の橋爪茂久事務局次長 「サプライチェーンの効率化には社内外にわたる多様な利害関係者の相互理解が欠かせない」と語る日本ロジスティクスシステム協会の橋爪茂久事務局次長

橋爪 サプライチェーン全体を見たときに、輸送に伴うCO2の排出量が大きな比重を占めています。CO2削減方法の1つは、輸送で使うトラックの数を制限することです。これまでトラックの積載量の半分で荷物を運んでいたものを満杯にすることで、輸送に使うトラックの量を半減できます。最近では複数の企業による共同配送も増えています。仮にA社とB社が同じ方面に荷物を運ぶのであれば、一緒のトラックに積んで運べば効率的なわけです。

 環境に優しい運転――「エコドライブ」も重要です。トラックは一般の乗用車と比べて燃費が悪いため、ドライバーの環境に対する意識付けは不可欠です。

 今注目を集めているのが、輸送手段の転換を図る「モーダルシフト」です。トラック、鉄道、飛行機、船舶などさまざまな輸送手段がありますが、国内ではほとんどがトラックによる輸送です。これを鉄道に切り替えることでかなりのCO2削減が期待できます。

 しかし課題もあります。工場に運ぶ物流の場合、運ばれた材料は必要な時に必要なだけ使うという「ジャストインタイム」でなくてはなりません。鉄道は時刻表通りに運行しているので、その時間に合わせる必要があるほか、駅から工場までの区間は結局、車などで運ぶ必要があります。トラックであれば、発着拠点の戸口から戸口まで運送可能ですし、時間にも柔軟に対応できます。

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