WBCの監督に学ぶ、超一流社員を率いるためのリーダー術問われるコーチング力(1/2 ページ)

球界におけるトップクラスの選手が集まったWBC日本代表チームを率いる原監督の手腕は見ものである。企業のリーダーにとっても学ぶべき材料は多いといえよう。

» 2009年03月18日 07時30分 公開
[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

 第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されている。国民の関心は非常に高く、東京で行われた第1ラウンドの日本戦は連日、超満員となった。今回のチームは、米メジャーリーグや国内で活躍する屈指のメンバーによる超スーパー軍団、ドリームチームである。各ポジションのトップクラスの選手を率いる原監督はとてもやりがいを感じているのではないだろうか。

 しかし、このコラムでも何度かお伝えしているように、有能な人が集まったからといって、常に結果を残せるわけではない。彼らが持てる力を存分に発揮し、チームを勝利に導くためには、リーダー(監督)の手腕が必要なのである。今回は超一流のメンバーを率いる監督が、彼らをうまく生かし結果を残していくためには、どのようにすればよいのかについてお話しする。これは、ビジネスの現場でも生かせるものである。

チームプレイが求められる場面

 一流のメンバーを率いる監督が、メンバーの能力を最大限に生かし、結果を残すためには、次の2点が大切だと考えている。


1. チームが勝つために全力を尽くすという心を植え付ける

2. 選手たちと多くの時間を共有して、信頼関係を築く


 1つ目は、チームのために戦うという意識を植えつけることである。一流の選手たちは、能力に自信を持っており、それぞれのチームでも絶対的な存在として頼られている。そのため、人一倍責任感が強く、結果として「おれの一振りで試合を決める」「おれが抑えてやる」といった感情を持ちやすい。しかし、今回のように、確実な結果が求められる場合、チームが勝つことが優先事項であり、特定の個人が期待に見合った結果を出したかどうかは重要ではない。だからこそ、「チームプレイ」の大切さを知らしめ、“For the team”――チームが勝つために全力を尽くすという意識を植えつけなければならない。

 今回の最終メンバーを決定する際、5名が選考から漏れた。選ばれなかった選手は、さぞかし悔しい思いをしただろう。しかし、彼らは自分自身の準備不足を率直に認め、選ばれた選手たちに頑張ってもらいたいと述べた。“For the team”というメッセージが浸透しつつあることが感じられた場面だった。

チームのために全力を尽くすという意識が必要(写真はイメージ) チームのために全力を尽くすという意識が必要(写真はイメージ)

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