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最近のベストセラー、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』 (岩崎夏海著 ダイヤモンド社)という長いタイトルの小説、100万部以上も売れているだけあってあちこちで話題になっている。略して、「もしドラ」と称するらしい。
表紙が「萌え系」で年配者には抵抗感があるが、P. F. ドラッカーの多くの著書を翻訳している上田惇生は絶賛するし、若者は読んで涙を流すし、一部経営コンサルタントも経営者が読むことを推奨する。そろそろ、こっそり読んでいる経営者が出ているだろう。
これは実話ではなく小説で、いわゆる作り話だが、そしてストーリーがいかにもでき過ぎていて、読みようによってはこじつけのようなところがない訳ではないが、読み終わって「なんだ、女子高校生が出来るマネジメントが、世の経営者にできていないではないか」と、ふと思わずにはいられなくなり、冒頭のタイトルを呟きたくなってしまう。
できすぎで、こじつけ染みたストーリーであることを割り引いても、この女子高校生マネージャーから学ぶことが少なくない。ただ、ここで指摘する学ぶこととは、今盛んになされているこの小説に対する評価とは、視点がまったく違う。
ドラッカーの主張を一部挙げてみると、マネジメントの定義について、マネジメントとは企業の方向付けを行い、ミッションを決め、その上で目標を定めて資源を動員し、成果に責任を持つことであるとする。
そして、マネジメントの役割として3点を挙げている。1つは組織に特有の目的とミッションを果たすこと、2つに仕事を生産的にし、成果を挙げさせること、3つに社会的責任を全うすることである。さらに企業の目的を顧客の創造だとし、その目的を達成するための機能として、マーケティングとイノベーションを挙げる。マーケティングとは顧客からスタートすること、イノベーションとは新しい満足を生み出すことである、とする。
ところで、企業の方向付けとミッションと目標と目的と機能の関係はどうなっているのか? マネジメントの定義と役割との関係は? などなど、読み進めば進むほど、ドラッカーの主張の前後関係が理解しにくくなり、実行に移す術を容易には掴めない。ところが、この理解しにくく実行に移しにくい『マネジメント』の内容を、みなみは明快に解釈し、至極単純化して、見事に実行に移して行く。
みなみが解釈して実行に移したことと、世の経営者の実態とを比較してみよう。都立進学高校の弱小野球部のマネージャーみなみは、チームを甲子園に出場させると目標を決め、勘違いからP. F.ドラッカーの『マネジメント』ダイジェスト版を購入してしまい、『マネジメント』の手法を学びながら、野球部を鍛えていくという青春小説だ。
みなみは、野球部のマネジメントに取り組むことを始める。まず、みなみはマネージャーの資質を問うことから入る。そして、組織とは何か、顧客とは誰かを考え抜く。結局、野球部とは「顧客に感動を与えるための組織」と定義し、顧客は親から学校関係者、部員など、野球部に関わるすべての人々と捉える。
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