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» 2010年10月05日 08時00分 UPDATE

資生堂が貫く美学:「一瞬も一生も美しく」の実現に向けたお客さまサポートに向けて(前編) (1/3)

資生堂の「お客さま」接点となる主たるチャネルは、全国店頭のビューティーコンサルタント、お客さま窓口、Webの3つである。資生堂が貫く「お客さま」サポートへの美学がかいま見える。

[森 一恵(早稲田大学IT戦略研究所),,ITmedia]

 顧客の信頼を勝ち取っているという企業イメージ通りに企業が存在していくことは、難しいが極めて重要である。グローバルでも企業が環境や社会に与える影響は絶大であり、短期的な収益を期待した自社製品やサービスの効用を訴求するだけでなく、環境に配慮し、社会に対して長期的な信頼を確立しながら経営を営んでいけるかどうかが課題となっている。

 英BPの原油流出事故に見られるように、環境を意識した経営が強く求められる時代となっている。顧客の要望をマーケティングや販売戦略に反映させることは伝統的手法として認知されているが、社会や環境に責任を持つ企業経営を営む上でも顧客の要望を事業に反映することがますます必要になるのではないだろうか。

 今回は日本を代表する企業の1つである資生堂における「安心・安全への取り組み」を軸とした顧客サポートの仕組みに迫る。サービス提供機能としてのコンタクトチャネルに集まる「お客さま」の声が、新たな役割を果たすことが明らかになった。

「100%お客さま志向」のコンタクトポイント機能

shiseidopho2.jpg 資生堂のコンタクトセンターの様子

 資生堂の顧客接点となる主たるチャネルは、全国店頭の「ビューティーコンサルタント」「お客さま窓口」「Web」の3つである。

 これら3つの代表的なチャネルを活用し「100%お客さま志向」を目指し、顧客の問い合わせや相談に誠実に対応し、それらから得た情報を社内にフィードバックし、役立つ情報・サービス・商品として市場に提供している。顧客情報を循環させているわけだ。

 1968年に産声をあげた資生堂の「お客さま対応組織」は、現在三十数人の窓口スタッフを中心に、総勢約70人。資生堂の取り扱いブランドのほぼ全ての問い合わせに対応するとともに、情報の収集と分析・発信にあたっている。一般的な問い合わせだけでなく、使い方や美容に関するご相談、企業活動全般にわたるご意見まで1年に約20万件の「お客さま」からの声に真摯に対応している。

 資生堂は日本を代表するトップブランドであり、取扱商品数、ブランド数などから見ても社会的認知度は非常に高い。このようなリーディングカンパニーで「100%お客さま志向」の対応を複数チャネルで実現するには3つの重要なファクターがある。

 資生堂の「お客さま窓口」運営を担当するお客さまセンター長の伊與田智美氏によると、3つのコアケイパビリティに支えられているとする。

 1つが「多岐にわたるお客さまの要望や声を聞いてダイレクトにコミュニケーションできるスキル醸成のための人材トレーニング」である。お客さま窓口には対面販売でのコミュニケーションで話題となるトピック以外の多岐にわたる内容について双方向のコミュニケーションが展開される。「お客さま」からもたらされる幅広い情報をスタッフがしっかりと理解し、組織内に有益な情報として提供できる人的能力が非常に重要であるとし、この人材スキルのレベルが企業経営に貢献する度合いも変わると言う。

 次に顧客から得た情報の「企業活動への反映」である。「お客さま」からの声を収集するだけでなく、分析し、そして組織横断的に共有することで具体的アクションプランを立てていく一連の活動である。最後にこれらの一連の活動を支える「IT」である。

 資生堂が収集する情報は商品アイテム、ブランド数、販売チャネル数に応じて膨大である。「お客さま」から入る膨大な情報を分類分析し、情報資産として効果的に活用するための物理的な仕組みとしてITが存在する。これは、使いこなせるITでなくては意味がない。情報の蓄積力・分析力・読解力など人間のスキル不足を上手くサポートできるITを目指している。

 以上のように資生堂と「お客さま」を結ぶコンタクトポイントは、人・活動・ITの3つがうまく連携し、有機的な運営がされている。具体的にそれぞれが作用し全体最適を実現しているかについて追っていきたいと思う。

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