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» 2010年10月26日 16時29分 UPDATE

トークライブ“経営者の条件”:優秀な人材がイノベーションの源泉――ワークスアプリケーションズ牧野CEOの人材戦略 (1/5)

人材を大切にする会社、あるいは「働きがいのある会社」とは、普通の会社と何が違うのか。会社を興して以来一貫して「人材獲得」にこだわり続けている経営者の考えを聞いた。

[岡田靖,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


 ユニークな人材獲得方法、そして「働きがいのある会社」としても注目を集める国産ERPパッケージベンダー、ワークスアプリケーションズ。その人材戦略の中心となっているのが代表取締役CEOの牧野正幸氏だ。

 ITmediaエグゼクティブでは、連載「ビジネス著者が語るリーダーの仕事術」で経営者JPと連携し、セミナー企画「トークライブ“経営者の条件”」を開催している。10月8日に開催された第5回トークライブ「経営者の条件」にゲストとしてその牧野氏が登場し、人材獲得方法の具体例から、その背景となっているポリシーに至るまで、人材にまつわるさまざまな話題について語った。その膨大なテーマのうち、主立った部分をかいつまんで紹介しよう。

「リクルーティングは直接部門」

makino.jpg ワークスアプリケーションズ 代表取締役CEOの牧野正幸氏

 ワークスアプリケーションズの設立は1996年。牧野氏と2名の共同経営者(代表取締役COOの阿部孝司氏と、代表取締役CTOの石川芳郎氏)が立ち上げた会社だ。同社は大規模ERPパッケージ「COMPANY」シリーズを開発、順次市場に送り込みラインアップを拡充し、国産ERPのリーダー的存在になっていった。特に人事給与パッケージ市場では8年連続国内シェア第1位(「2002年〜2009年人事給与ソリューションのライセンス売上高シェア“エンドユーザ渡し価格ベース”出典:株式会社矢野経済研究所調べ」)と、ほかの追随を許さぬ高い支持を受ける。そして設立からわずか5年後の2001年、JASDAQ店頭上場を果たした。同社では「働きがいのある会社」調査において2010年に第1位を獲得するなど、その人材に関する取り組みが注目を集めている。

 同社が求める人材像は、まさにベンチャーならではのものといえるだろう。

 「大企業で優秀とされる人材は、社内外に蓄積された情報アーカイブをキャッチアップして、効率的に仕事を管理するのが得意な人。当社で求める人材は、それとは逆に前例を守らなくても構わないから、その代わりに何かを創造できる人。0から1を生み出せる人材だ」(牧野氏)

 歴史ある組織であれば膨大な情報やノウハウが蓄積されているものだが、ベンチャーにはそれがない。だが、むしろイノベーションというのは、前例にとらわれない柔軟な発想から作り出されることが多い。日本でのITの常識を変えたい、という牧野氏の思いから設立されたワークスアプリケーションズにおいては、まさにそのイノベーションが重要ということになる。そして、知恵とは人間の頭脳から生まれるものだけに、新しい物事を創造できる優秀な人材こそが必要というわけだ。そのことを牧野氏は、「リクルーティングは直接部門」という言葉で示している。

 「当社にとって人材獲得は一種の研究開発。さすがに上場企業なので計画的に実施しているが、そこには利益すべてを注ぎ込んでも構わないと思っているほど重要視している。」(牧野氏)

 ソフトウェア開発、とりわけ業務アプリケーションの分野では、どれだけきめ細かく機能を作り込むか、そしてどれだけきめ細かくテストして品質を高めるか、が商品を強化する上で大きなポイントとなってくる。人材や時間が乏しければ、機能や品質を向上させていくことが難しい。逆にいえば、研究開発費の大半は開発スタッフの人件費や関連費用だ。それを考えれば、牧野氏の発言もうなずけよう。

 とはいえ、牧野氏は人数を確保するのではなく、「少人数でもいいから優秀な人材を」という戦略とした。会社が成長したときに、初期の従業員が上位に残れるような人材であるべきだという考えからである。

 「そのため、成長できる時期にあまり成長しなかった。お客様からの要望に対し、人手が足りず応えきれない部分も少なくなかったのだ。後に人が増えた分だけ仕事を増やしていったので、順調に成長していけた。人材にこだわらなければもっと伸びただろう。しかし伸びすぎて、リーマンショックの影響で潰れていたかもしれない」(牧野氏)

 着実な成長を選んだワークスアプリケーションズだからこそ、逆にリーマンショックの影響で求人が減った今こそ優秀な人材を大量採用することが可能だったのだろう。

 「協力会社の担当領域を社内に戻し、その分の予算を採用に回した。新卒300人、中途等を合わせて500人くらい採用した。売上高は横ばいだったが、良い1年だった」(牧野氏)

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