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» 2011年08月05日 07時00分 UPDATE

会社人よ、社会人になろう!:人生を変える体験、被災地ボランティアに行こう! (1/3)

東日本大震災復興支援におけるボランティアは、どのような意味を持つのか? 震災を機に日本は大きく変わっていく。その変化に当事者として関わるのか、傍観者でいるのかは大きな違いだ。「会社人」の前に「社会人」であるための意識と行動を考えてみる。

[鷹野秀征(ソーシャルウィンドウ),ITmedia]

6回シリーズのはじめに

 日本がいま大きく変わろうとしています。東日本大震災は、誰もが持っている「人の役に立ちたい」意識と行動を呼び起こしました。これは経済社会が置き忘れた心の豊かさを取り戻す「市民社会」の原点であり、本稿のテーマとする「社会人」の姿です。

 本稿では「会社人よ、社会人になろう!」と題して、「会社人」の前に「社会人」であるための意識と行動を6回シリーズで書いていきます。各回のテーマは、ボランティア、寄付、社会起業家、CSR(企業の社会的責任)、社会・環境に配慮した購買、新しい公共、を予定しています。各々の社会的意義および個人の人生における意味を解説し、「社会人」としての具体的行動を提案していきます。

 一見仕事に関係のない活動のようにみえますが、「社会人」としての意識と行動は仕事の意味を問い直すことに繋がり、働き甲斐と企業の社会価値を高めます。その理由は各回の中で述べていきます。

 読者のより充実した人生のために、より価値ある会社生活のために、より心豊かな社会創りのために、本稿が一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。


ボランティアの持つ意味

 石巻市に計4回ボランティアに行きました。行く度に「多くの人に1度は現地に行って欲しい」「行かなければ後悔する」という思いが強くなります。一緒に行った人が皆こう言うからです。「行って良かった。誘ってくれてありがとう」と。

 ボランティアの作業自体は誰にでもできることです。イメージを持ってもらうために、7月に参加した公園の草取りとバーベキューの様子を紹介します。


 朝9時、石巻市沿岸部の住宅街にある広めの公園に集合。よく晴れて暑い日です。ボランティア30名、近所の方20名ほどが参加しました。コーディネートはNPO法人JEN(ジェン)。海外の大災害に駆けつける経験豊富な日本の緊急災害支援団体で、3月に石巻事務所を設置、現地スタッフを13名も雇用しています。

 虫除け・日除けで完全防備し、JENが用意した草取り道具を手に作業に入ります。スタッフからの注意点は二つ。(1)被災者に震災当日の話をこちらから聞かないこと、(2)津波注意が出たら山側へ逃げ、もし水がきたら近くの家の2階に上がること、許可は不要。津波被災地にいることを実感します。この日も震度4の余震が発生し、津浪注意報が出て緊張が走りました。まだまだ震災は終わっていません。

 周囲の家は1階が津波被害に遭い、まだ片づけが済んでいない家もあります。街中の大きな瓦礫はほぼ撤去されましたが、公園には細かいガラス片や金属などが沢山残っています。今回の草取りの主目的はこれらの危険物を取り除くこと。学校が避難所になり、子供たちが思いっきり駆け回る場所がなかったのです。子供が元気だと大人も元気になります。

 熱中症にならないよう小まめに水分補給し休憩をとります。なかなか作業がはかどりませんが、近所の方と雑談していると楽しくなります。「どっから来たの ?」「千葉です」「よく来てくれたね」「草取りは得意ですから任せてください。家の草取りもしなきゃですが(笑)」

 ふと周囲をみると草がだいぶ無くなっています。さすが人数の力です。これを1人でやっていたら気が遠くなってやる気が起きません。被災地の方々はこの無力感と日々闘っているのだと感じました。ここにもボランティアの意味があります。

 午前中で草取りはほぼ終了し、午後はバーベキューです。強い夏の日差しの中、パラソルを立てて、ちょっとしたビーチ気分を出します。肉と野菜の焼けるいい匂いが公園を満たします。しかしハエの多さには閉口しました。魚の死骸などからハエが大量発生していて、ご近所の方の話では親指大の巨大ハエもいるそうです。「あげようか? 」「いりません(笑)」。他愛もない会話が弾みます。被災者には困難を笑い飛ばす強さがあって、逆に元気をもらうことが多いです。

 しばらくバーベキューを楽しんでいると、子供サッカー教室が始まりました。この日は元日本代表の都並さんが来ていました。温かい支援の輪が広がっています。子供たちの歓声を聞きながら、また来ようとの思いを持って現地を後にしました。


 この日はイベントがありましたが、前回は側溝の泥だしだけで1日終了でした。それでも感じること、得ることは沢山あります。それは「自らの意思」で参加した「人の役に立つ」作業だからです。

 当初はボランティアというと瓦礫片付け・泥だし・清掃、物資配布、炊き出しが中心でしたが、復旧から生活支援段階に移り、今は多種多様なボランティアがあります。花植え、避難所での本読み、農家の畑の片付けや種植え、障害者・高齢者施設の手伝い、足湯、コミュニティカフェの手伝いなどなど。自分に合ったボランティアがあればもちろんOKですし、無くても1度は何かに参加してみてください。現地に行くことが大事です。

 現地行きを勧める最大の理由は、想像を絶する津浪被害の現場に直接立つ強烈な体験を得るからです。石巻に行くと必ず隣の女川町を見に行きます。入り江で津波が20mにもなった地区です。まるで爆撃を受けたかのような廃墟の数々、横倒しになったビル、魚や油の混じった臭い、土埃、ビルの屋上に乗っている民家や車、地盤沈下で冠水した横断歩道、10m以上も積み上げられた瓦礫の山。映像では決して伝わることのない現実に圧倒され、「言葉を失う」とはどういう状態なのか誰もが心底理解するのです。そして自分が「生かされている意味」を考え、大震災が他人事でなくなります。

 東日本大震災のボランティアは個人の人生にとって特別の意味があります。

 震災を機に日本は大きく変わっていきます。その変化に当事者として関わるのか、傍観者でいるのかは大きな違いです。小さいころ祖父母から戦後の話をよく聞きました。同様に私たちにはこの大震災からの復興を後世に伝える役割があります。被災者と同じ体験はできませんが、現地に行き、被災者の方と同じ風景を見、空気を吸い、ともに作業することで、リアリティが全く違ってきます。現地との気持ちの繋がりができるので情報感度が増し、同じニュースを見ても地元のことのように記憶に刻まれます。

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