【新連載】もしあなたが90歳以上ならキャリアプラン 90歳までの現役計画(1/2 ページ)

若いうちに苦しい目にあっておくと、年をとってから、ああ、あれが幸せということだったのかと分かる。そうすると今がますます幸せになる。

» 2012年06月22日 12時00分 公開
[郡山史郎(CEAFOM),ITmedia]

 わたしの縁戚に99歳の男性がいます。30年ほど地方公務員を務めてから、民間企業2社に40年、合計70年勤務したサラリーマンの大先輩です。技術者で、戦争には行っていませんが、父親、兄妹、若妻を戦時中に失っており、それなりに時代の苦労の体験者です。

 2度目の伴侶を10年ほど前に亡くしてから、田舎の一軒家で一人暮らしをしています。過去を語ることはなく、心情を声高に述べることもしませんが、代弁すると下記のようなものになります。

 数年前までは、仕事もしていて、自動車の運転やゴルフもやっていたが、最近は、人に迷惑がかかるからやめた。今は、自分のことを自分ですることだけを日課にしている。三食自分で作り、家事全般を行うと結構忙しい。充実した毎日を送っている。

 寂しいことはない。一人暮らしは、気楽で健康に良い。病弱の家内を長く看病したので、家事はすべて自分でできる。大体、男は妻を養うもので、外勤をしなくなったら家事をすべて引き受けるくらいのつもりでないといけない。結婚という共同生活は、相手のために徹底して苦労をする、つまり男は働き、女は子供を産んで育てるのだから、楽なことはなにもない。

 苦労することを嫌がると、人は決して幸せにはならない。自分は、結婚している間は苦労したが今思うと幸せだった。また結婚したいのだが、相手の面倒を見るには体力がなさすぎる。だから、今は、自分の面倒だけを見て、せめて、だれにも迷惑をかけないようにしている。これも苦労だから、やりがいがある。

 死ぬのが怖くないか、と言われたら、まったく怖くないとしか言いようがない。若いころに、死ぬのが怖かったことがあるが、不思議でならない。毎日生きるために、精一杯なので、生きるための生きがいを感じている。90歳になって死ぬのを怖がっている人はいないと思う。嘘だと思ったら、90歳になってみるといい。

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