発想をカタチにする技術――新しさを生みだすありきたりの壊し方ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

次々とヒットを飛ばす「サラリーマンNEO」「あまちゃん」ディレクターも最初は評価されていなかった。面白いアイディアを持っている、新しいことをしたいがどうすればいいのか。まずは自分の「枠」を取り払ってみよう。

» 2014年01月16日 08時00分 公開
[吉田照幸,ITmedia]
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 頑張っているのに、認められない、ということはあります。

「発想をカタチにする技術 新しさを生みだす“ありきたり”の壊し方」

 何か新しいことをしたい、自分のアイデアを生かしたい、と思っていても会社の「前例がない!」「そんなのムリに決まってるだろう」という声に打ち消されてしまう。それは、もったいないことだと思います。誰もが面白いアイデアを持っているし、やり方が分かれば「これが自分の仕事だ」と思えるものができるはずです。「発想をカタチにする技術」は、そんな、(ある意味)仕事で悶々としている人のために書きました。

 ぼくは、今でこそ「サラリーマンNEO」(サラリーマンを題材に個性は俳優がシュールな笑いを演じるコント番組。NHKの番組自体をパロディにするなど、従来のNHKからしたら異例な内容で、シーズン6まで続き、国際エミー賞にまでノミネートされました)という、多くの方に愛される番組を作り、ヒット作「あまちゃん」にも関わることができましたが、当初はなかなか芽が出ませんでした。紅白歌合戦で同期がフロアでディレクターをやっている中、ぼくは「レコード大賞」の会場からNHKホールまで歌手の方を連れてくる役目。要は、評価が悪かったんです。どうしたら、ここから抜けられるだろうと思っていました。

 で、気がつきました。自分は「枠の中」だけで仕事をしようとしていたんだと。そのためには、まず「こんなことをやりたい!」と手を挙げることなんです。でも、手を挙げたもののうまくいかないこともあります。

 コツは、以下の3つです。

(1)自分から離れる

(2)新しいことをやりたいなら、新しいことをやろうとしない

(3)仕事の目的を忘れない

(1)自分から離れる

 人から認められようとすると、どうしても何か抜き出たことをやろうとか、「自分が自分が」という意識が強くなります。でも、それは実は「認められる」ということから離れていくんです。

 例えば、上司に何か提案をした際、反対されたとします。そのとき「イヤな上司だ」と思いますか? (まあ、思いますよね)。でも、その上司の言葉をどう受け取っていますか? 相手の話は聞き流して、自分の意見ばかり主張していませんか?

 上司の話でも、よく聞いていると真っ向から反対しているのではなく「ここは分からない」とか、「こういうふうになると困る」とか、部分的な否定であることも多いわけです。だったら、それを解決してあげればいい。すると、自分以外の人との共感のパイプが強くなり、あなたの意見は多くの人に認められるものになります。

 ぼくは、自分が作ったものに対するいろいろな人の意見を、その人ごとにメモして、「みんなが共通に感じている問題点」を考えることにしています。それぞれの言葉は違っていても、「問題」の根っこは同じこともあります。冷静に見ていけば、よりよくするための突破口は見つかります。

 なお、よく交渉の本では相手のメリットを提案する、などとありますが、組織の中では「相手の不安や恐怖」を解決してあげる、というのも効果的だと思います(「サラリーマンNEO」の企画を通した話を含め、このあたりは本書で説明をしていますので、ぜひご一読ください!)。

 少し話が脱線しましたが、「共感」を持ってもらうには、人の声に耳を傾けること。そして、エゴ=自分から離れること、です。自分がいくら「よい」と思っていても、人の共感を得られなければただのエゴです。

 「サラリーマンNEO」の企画の発端も、友人の「コントが見たいな」という一言でした。提案会議では自分が万全の用意をして出した企画ではなく、こっちの企画が通った。もうね、そんなものなのだと思います。

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