CIOとして前任者のギリス氏を向かえたフォーザニは、大胆な計画をスタートさせた。4つの主要ITシステムをすべて18カ月で置き換え、新システムをカットオーバーするという計画だ。
フォーザニは2005年、大胆な計画をスタートさせた。4つの主要ITシステムをすべて18カ月で置き換え、2006年6月に新システムをカットオーバーするというものだ。
「プロジェクト・ジェミニ」と題したこの計画は、控えめにいっても意欲的な試みだった。マンハッタンアソシエイツのWMSと梱包最適化システム、JDAソフトウェアグループの商品配分ソフトウェア、それからのシステムを統合する、ティブコソフトウェアのミドルウェアを、同時に導入することが含まれていた。
「プロジェクト・ジェミニ」では、コンサルティング会社のリテールプロセスエンジニアリングがコンサルタントチームを派遣し、フォーザニのプロジェクトを支援。また、Q4ロジスティクス(現フォートナ)がプロジェクト管理とテストを統括した。社内外の計80人がプロジェクトに携わり、多くのコンサルタントがプロジェクトの終了後もサポートを続けた。
「導入時にサポートしてくれたコンサルタントを、その後も雇いたいと考えている。それは、試用期間を経て雇うのと同じだからだ。そうして継続して付き合えば、お互いに相手のことをよく知ることができる」と、CEOのサーター氏は言う。
フォーザニが新学期(※)や年末の商戦期までに新システムを使いこなせるようになるためには、カットオーバーの期限を必ず守らなければならなかった。「書き入れ時までに導入しておくことが不可欠だった。もし導入が6月に間に合わなければ、1年間遅れるのと同じだった」と、ビジネスソリューション担当シニアディレクターのリチャード・ハンナ氏は語る。
プロジェクトは最終的に期限までに完了した。「新システムの稼働開始から24時間以内に、われわれは従来の生産性レベルにまで回復できた」と、同社のサプライチェーンマネジャー、キース・ランバート氏は言う。
新システムにより、2カ所の物流センターから店舗への商品供給の効率はたちまち向上し、顧客への配送のスピードアップと業務の省力化を進めることができた。そのおかげで大きな成果を上げた。単位コスト当たりの商品供給量が5%増加する一方、コスト自体は5%減少した。売り上げも7%伸びた。
サーター氏は「ITは利益率と在庫回転率の向上をもたらし、われわれのビジネスに大きく寄与している」と胸を張る。
プロジェクトの終了後、CIOのギリス氏はホームデポのカナダ法人に転職した。ハンナ氏は「一般に、CIOの勤務期間は2年程度だが、ギリス氏はここに5年も勤めたようなものだ」と漏らす。
「ギリス氏のリーダーシップの下で、この会社を支える技術の多くを刷新できた。ITの観点から見ると、今は最適化と安定化の時期。既に技術はそろっているので、それらを効果的に活用できるように取り組んでいる」
ランバート氏も「5年前なら、CIOがいなければやっていけなかっただろう」と同調する。
ハンナ氏は当初、CEOのサーター氏がCIOを兼務することを心配していた。仕事を抱えすぎることになると疑ったからだ。「いくらボブでも、両方の仕事をするのは無謀では・・・・・・」
だが、ランバート氏は「今では、われわれの会社では強力なITチームが機能している」と話している。
※米国の学期は、おおよそ8〜9月に始まり翌年の5〜6月までとなる
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明治学院大学 経済学部准教授