サンがこのほど、移動可能なコンテナ型データセンター「Project Blackbox」を国内で初披露した。およそ1年前に米国本社が「未来型データセンター」としてコンセプトを発表していたもので、2008年初頭にも製品化される見込みだ。
「データセンターは電力とスペースの制約に縛られて機能麻痺寸前で、このままでは到底Web2.0のニーズに対応できない。現在のデータセンターは、あくまで人間がコンピュータを世話する、という視点で設計されており、これにいくら改良を加えても限界がある。そこで、世界で最も採用されている標準規格の輸送コンテナをベースにモジュール式の無人データセンターを構築する、というアイデアが生まれ、そこからProject Blackboxが始動した」
およそ1年前、米Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツCEOは「Project Blackbox」のコンセプトを発表した際にこうコメントした。それ以来、果たしてどんなものが出来上がるのか注目されていたが、このほどサン日本法人が国内で初めてその実物を披露した。
Project Blackboxは、ISO標準の輸送用コンテナ(幅2.5m×奥行き6.1m×高さ2.6m)にサーバやストレージ、制御機器を収容する19インチラック8台に水冷却・電源装置など、データセンターに必要な機器を一式収容できるようにしたものである。
汎用コンテナを採用したことで、貨物列車やトレーラー、航空機などで輸送でき、大規模なセンター施設を建設する必要がないため、従来の10分の1程度の短期間でデータセンターを設置できるのが最大の特徴だ。
1台のProject Blackboxには「Sun SPARC Enterprise T2000」サーバで140台、「Sun Fire T5210」サーバで280台、そして最大記憶容量3Pバイトのストレージを収容可能。最大1万人のデスクトップユーザーを同時に処理する能力を備えている。
なお、19インチラックマウント対応であればサン製以外のサーバも収容できる。コンテナの外装には電源入力と冷却水接続用口、ネットワークポートがあり、外部からの電源・冷却水供給およびネットワークを接続すれば稼働する。
また、一般的なデータセンターの電源容量が150ワット/平方フィートであるのに対し、Project Blackboxでは最大1250ワット/平方フィートを実現することで、エネルギー、スペース、並びに性能の利用効率を最適化することができる。ラック当たりの許容電力も一般的な6キロワットに対して25キロワットを達成し、高性能なラックマウントサーバを実装できるスケーラビリティも備えている。
さらにProject Blackboxは、環境保全や経済性を実現するエコ対応も特長の1つ。先進的な冷却機構により、従来のデータセンターと比べて冷却コストを約40%削減できるほか、外部から容易にAC電源を引き込めるため、太陽光や風力などの発電を動力源にすることもたやすいという。
用途としては、データセンターの増強、暫定的な利用、災害時などの特殊利用が考えられる。またコンテナ単位なので、企業のサービスの成長度に合わせて段階的に導入すれば、データセンター能力を効率よくコントロールするこも可能だ。
想定価格は水冷却・電源装置のみを搭載したもので1億円弱(サーバなどは別料金)。市場の反応や販売見通しについて、サン日本法人の末次朝彦社長は「米国ではすでに納入実績があり、日本企業からの引き合いも10社以上ある。とくにこれからデータセンター事業を始めようと考えている企業から強い引き合いをいただいている。販売見通しについては、正式な製品化の発表後2〜3年で数十台を見込んでいる」と言う。
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明治学院大学 経済学部准教授