【第6回】世にもおかしな日本のIT組織(6)〜「建前」と「本音」、日本企業の複雑怪奇なフロー三方一両得のIT論 IT部門がもう一度「力」をつける時(3/3 ページ)

» 2008年02月08日 11時01分 公開
[岡政次,ITmedia]
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 欧米型のワークフローは、保障印なんていらない。だから、職務権限どおりにワークフローを定義すればフローが回る。しかし、日本企業のフローは建前と本音で大きなギャップが存在している。苦労に苦労を重ねて定義したワークフローシステムの経路は、組織変更があれば一瞬で崩れる。仕方ないから、紙とシステムの併用になったり、再び紙の回付に戻ってしまうのだ。

3.非定形な添付書類が沢山

 さらに、決裁書には沢山の添付書類を付けなければならない。企画書、見積書、相見積もり比較書、カタログ、購入先選定理由書、値引き交渉経過書、費用対効果計算書、部門予算進捗表など、たくさんの書類が必要とされる。これも日本の企業文化だから仕方ないことかもしれないが、決裁書をワークフローシステム化しても、添付書類だけは紙で回付するケースが非常に多い。

 添付書類をスキャナーで読み取り添付する環境を社内に整えるのは難しいし、スキャニングする作業も煩雑で定着しにくいからである。これでは、システム化のメリットどころか、添付書類の回付に引っ張られてさらに回付が遅れる原因となる。


 欧米の文化を前提とした中途半端なワークフローシステムでは、定着はやはり難しいのだ。こういう日本企業特有の業務フロー要件に対応できるシステムを構築するには、どうすればいいのか。この課題解決ができない限り、本当に現場で満足されるワークフローシステムは残念ながら実現できない。[戻る]

プロフィール

ウイングアーク テクノロジーズ株式会社 協創企画推進室 岡 政次(おか まさじ)

三重県出身1959年生まれ。1977年シャープ株式会社に入社。本社IT部門に在籍、10年強の新人教育、標準化・共通システム化を担当。さらにシステム企画担当として、ホスト撤廃プロジェクト、マスター統合、帳票出力基盤の構築等に携わる。2007年4月、ウイングアークテクノロジーズ株式会社に入社。現在、経営・エンドユーザー・IT部門の「三方一両“得”」になるIT基盤構想を提唱し、「出力HUB化構想」を推進する。


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