ITILの導入が社内スタッフの教育や管理体制を促進し、縦割りだった企業サービスを水平化させる原動力になるという。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の実装化はコストが掛かり、エンドポイントが見えない点が、ミッドマーケットでの普及を阻む原因となっている。そのため、多くの企業がITILに“準拠”したいと思っても、企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)や金融制度改革法(Gramm-Leach-Bliley Act)のようには対応できないのが実情だ(難しいのはITILがとらえどころのない移動標的であるため、とする声もある)。ITIL導入コストは、新技術や既存環境の整備に投資が必要になったときなど、当初の数十万ドルから最終的に数千万ドルへと際限なく膨らむこともある。
こうした大規模な支出への恐怖感は、CIOたちを大挙してコンサルティング会社へ向かわせている。現在、企業のITIL実装化を支援するサービスマネジメント専門のソリューションプロバイダーには、ピンク・エレファント、サービスナウ・ドットコム、ゲトロニクス、トラバースITなどがある。
「つい最近まで、ITILについて考える、あるいはその意味を知っているミッドマーケットの企業はまれだった」と語るのは、トラバースITのCEOで創業者のフランク・ゲリノ氏だ。「ITILがいかに効果的であるかを話す前に、われわれはITILそのものを理解してもらうために多くの時間を割いてきた」
そうした説明はほとんどの場合、7冊の書籍の中で最もポピュラーなサービスサポートとサービスデリバリから始まる。ここで注意しなければならないのは、ITILの書籍はシーケンシャルではないという点だ。ユーザーはそれぞれの事情に合わせて、個別選択的に実装することができる。サービスサポートの書籍には、インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理、リリース管理の5つの領域のプロセスが記述されている。
ゲトロニクスの上級ITILコンサルタント、スティーブ・バジャダ氏によると、これら5つの領域のプロセスをマスターすれば、企業はサービスインシデントの特定、解決に要する時間を最小化できるという。「多くの企業はサービスを縦割りで考えているが、ITILを導入すれば、全社レベルで水平的に処理することが可能になる。ITILをどうとらえるかに関係なく、こういったタイプの広範なアプローチは優れた方法といえるだろう」と同氏。
サービスサポートは、ITサービスのユーザーに焦点を合わせている。企業は、インシデントとそれらに応答した時間をレポートする構成管理データベース(CMDB)を利用して、個々のインシデントを追跡することが可能となる。
この書籍はまた、ユーザーとサービスマネジメント担当者の間に“サービスデスク”と呼ぶ単一の窓口を設置するようにアドバイスする。サービスデスクはインシデントや問い合わせを処理するだけでなく、変更要求やソフトウェアライセンスなど、他のアクティビティのインタフェースを提供する点で従来のサポートデスクと異なる。
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