グローバルなビジネス活動が本格化する中で、グローバルなシステムの導入に問題を抱えている企業も少なくない。日本の製造業がより競争力を強化するためのIT整備のポイントとは?
提供する製品の質の高さから、揺ぎない信頼を獲得するまでに至った日本のものづくり。ただし、経済活動のグローバル化に伴い、日本製造業は新たな課題への対応に迫られている。
工場の海外進出により、従来よりも困難になった原材料の適正供給もその1つ。また、工場のマネジメントもグローバル化が進むことで従来よりも困難になることが避けられない。こうした背景から、企業の生命線ともいえるシステムの再評価や見直しを求める声は日に日に高まりを見せている。
日本の製造業が競争力を維持し、より高めるために果たしてどのような施策が求められているのか――。アイティメディアは3月19日、「ITmediaエグゼクティブセミナー」を開催。その特別講演でITコンサルティングを手掛けるアイ・ティ・アールでシニアアナリストを務める浅利浩一氏は、日本の製造業に求められるITの活用方法について解説した。日本メーカーはITの利用法をさまざまな観点から見直すことで、競争力をまだまだ高めることができそうだ。
浅利氏は最初に、同社が毎年実施する「IT投資動向調査」を基に、企業におけるIT投資の推移を解説。それによると、その額は2001年度から2006年度まで一貫して右肩上がりに上昇してきたものの、2007年度は景気後退の影響から2006年度の3.2%より0.3%減少したという。ただし、その内訳は新規システムの構築や大規模リプレースのための「戦略投資」が2006年度より0.3%減少したものの、既存システムの維持や若干の機能拡張のための「定常費用」の割合は変わらなかった。この結果を踏まえて浅利氏は「定常費用が真に競争力を高めるための戦略投資の足かせとなっている」と強調。また、IT部門が把握・管轄できていないITコストの問題が徐々にだが顕在化しつつあるとの認識を示した。
次に同氏は、2008年度における業種別IT投資の優先順位を説明。この調査によると、いずれの業種でも上位2つの回答は「内部統制や法令順守への対応」、「業務コストの削減」など業種別の偏りはみられなかったが、製造業では3位に他業種で優先順位が比較的低い「既存システムの統合性強化」が挙げられた。
これらの結果から、製造業では一般的に組織や機能群間の情報の分断や、ロケーションによる情報の分断などの課題を抱えており、そのことが環境変化に迅速に対応する上での足かせになっていると指摘。
「グローバル化の進展に伴い、IT面でも多言語・多通貨やネットワークリスクへの対応が急務となっている。もちろん、生産・物流・マネジメントのグローバル化に伴う業務プロセスの変更への対応もシステムには求められている」(浅利氏)
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明治学院大学 経済学部准教授