エンタープライズレバレッジを生み出すことによって、CIOおよびIT部門は新たな役割を担うことになります。すなわち、現行の運用を改善するだけでなく、企業を変革することまでがCIOとIT部門の役割になります(図3)。レバレッジを生み出すには、IT部門を含む企業全体に一連の適切な変更を導入することが必要となります。
これは、特に企業が情報とイノベーションのさらなる活用に注目している場合は必須です。新たな、より高いケーパビリティに対する経営陣の期待に応えるには、CIOは中核のIT機能を大幅に向上させる必要があります。CIOは、ビジネスプロセスの改善、エンタープライズアーキテクチャ、ビジネスインテリジェンス、ビジネスリレーションシップマネジメントのためのケーパビリティの重要性が高まることを予測しています。
そして同時に、IT計画、ビジネス戦略、ガバナンス、IS組織(情報システムにかかわる様々な組織)の形成といったCIOの本質的役割を見直しています。CIOに求められるのは、こういった新たなITケーパビリティによって、企業の経営陣が期待する新たなエンタープライズケーパビリティをもたらし、その結果、要求の厳しい顧客のニーズに首尾良く対応することです。つまり、先見性の高いCIOは、現在のIS組織では、2010年の時点には力不足となることを認識しているのです。
2010年に向けて、IS組織においては進化のパターンが顕在化しています。さらなるビジネスへの貢献とレバレッジを求める要求に応えるべく、CIOはIS組織を変貌させつつあります(図3)。
日本の大多数のIS組織が現在、機能指向からITサービス指向のモデルへの転換を進めていますが、今後は、さらに強力なプロセス重視の方針を採用するように迫られることになります。ITサービス指向からビジネスプロセス重視に移行するに当たっては、ビジネス効率の改善に注力する必要があります。そして、このためには統合、標準化、プロセス管理を導入することが要求されます。
この結果、CIOは事業部門に接しているITリソースである、リレーションシップマネジャー、アーキテクト、およびビジネス・アナリストに、「受注から請求まで」または「購入からサービスまで」といったエンド・ツー・エンドのプロセスを割り当てるようになっています(図4)。プロセス指向をいち早く導入したIS組織は、イノベーションとエンタープライズレバレッジに対するニーズの高まりに直面しています。そしてこのような状況で、ビジネス・イノベーションの機会を特定し、実現するために、情報指向と業務情報の活用を重視する方向に向かっています。
このような進化への道は平坦でも単調でもありませんが、効率性、有効性、革新性に対する高まるニーズにほかのCIOがどのように対応しているかをCIOとして把握しておく必要があります。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授