「太陽電池は油田だ」――シャープ・町田会長(1/2 ページ)

「堺コンビナートの挑戦」という町田会長の言葉に表わされるように、シャープが建設中の堺新工場には地球環境に配慮した最新技術が惜しげもなく盛り込まれている。特に工場の屋根などに張り巡らされた太陽光発電システムは地球を救う可能性を秘めるという。

» 2008年11月14日 10時50分 公開
[伏見学,ITmedia]

 世界中から有識者が集まり地球環境保全に対する情報通信技術(ICT)のあり方について議論するセミナーイベント「ICT・CIO・環境・ITガバナンス2008」が11月7日に早稲田大学で開かれた。基調講演にはシャープの町田勝彦会長が登壇し、エネルギー削減に向けた自社の取り組みを紹介した。町田氏は「日本人の粘り強さがあれば温暖化問題は解決できる」と力を込めた。

低炭素社会の実現に向けた取り組みを語るシャープの町田勝彦会長 低炭素社会の実現に向けた取り組みを語るシャープの町田勝彦会長

 同社が大阪・堺に建設中(2009年に稼働開始予定)の液晶パネル新工場は、地球環境に配慮した工場として知られる。「堺コンビナートの挑戦」という町田氏の言葉通り、17の関連会社が立ち並ぶ敷地内には最先端の環境技術が惜しげもなく活用されているという。

 その1つが太陽電池を用いた太陽光発電システムだ。太陽電池とは光エネルギーを直接電力に変換する電力機器のこと。コンビナートの各工場の屋根上などに太陽光発電システムを設置し、コンビナート内で自家消費電力として使用する。太陽光発電は原子力発電や水力発電と同様、発電過程で二酸化炭素(CO2)を排出しないため温暖化防止にもつながる。既に亀山工場で同様の取り組みがなされており、通常の発電と比べて約40%のCO2を削減したという。町田氏は「(堺では)さらにCO2排出量を亀山の半分にする」と意気込む。

結晶型から薄膜型へ

 同システムに使われる太陽電池もエコに貢献する。現在の太陽電池マーケットでは多結晶シリコン型の太陽電池が主流だが、シリコンの材料不足が続く中、従来と比べてシリコン使用量が100分の1程度で生産工程が短く、太陽の光を電気に変換する効率も高いという「経済的な」薄膜型が脚光を浴びている。シャープでは既に奈良の葛城工場で薄膜型の量産を行っているが、堺の液晶パネル工場に併設する太陽電池工場でも生産する。堺コンビナートの発電システムで使う太陽電池はオンデマンドで調達できるというわけだ。

 そのほか堺コンビナートでは、全工場にLED照明を約10万台導入して消費電力の削減を図ったり、エネルギー管理センターを設置しすべての生産稼働状況をモニタリングすることでエネルギーの無駄を排除したりするなど、積極的に環境問題に取り組む。

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