世界的な経済危機の中で、日本の景気も多分に漏れず苦しい状況にあり、一般家庭にまでその影響は及んでいる。ヒットする連続ドラマといえば、「強い女性」や「不幸な家庭」をテーマにしたものが多いという。
金融危機がさまざまな悪影響をもたらしている。世界的株安、急速な円高、雇用・所得面での不安の高まりなど、景気は厳しい。9月の「リーマンショック」の後、世界的に大幅な株価下落が頻繁に生じた。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の下落幅ランキングを見ると、12月8日時点で、歴代ワースト18位までに、米Lehman Brothersが破たんした9月15日以降約3カ月弱の期間の日付が13回も入ってしまった。株価の記録的な下落のニュースが頻繁に流れると、さすがに株式に興味がない人の消費者心理も大きく冷え込んだようだ。
金融危機により米General Motors(GM)などビッグスリーの経営危機が表面化するなど、実体経済にも悪影響が波及している。自動車業界をはじめとする日本の輸出産業も打撃を受けている。内閣府の「景気ウォッチャー調査」では自動車産業を抱える東海地方や九州地方での悪化が深刻だ。10月分では九州地方、11月分では東海地方の現状判断DI(方向性)が全国で最低になった。これまで輸出により景気がいいと言われていた地域が、日本中で一番厳しい景況感の地域になってしまった。
景気と関係の深い「鉱工業生産指数・速報値」は、10月分が前月比3.1%減と大幅減少になった。先行きを「製造工業予測指数」の前月比でみると、11月分が6.4%減、12月分が2.9%減と大幅減少の見込みで、金融危機の影響が大きく出る模様だ。2008年2月分の鉱工業生産指数の指数水準が110.2で史上最高水準だったが、予測指数で延長すると12月分では93.0まで大きく低下し、2003年8月分の92.3以来の低水準に1年も経たずに急落することになる見込みだ。
鉱工業生産指数11月分・12月分を製造工業予測指数で延長した場合の試算では、10〜12月期の前期比は8.6%減となり、4四半期連続での減少になる。1955年から確認できる鉱工業生産指数で、四半期の前期比が最大に落ち込んだのは第1次石油危機時の1975年1〜3月期の6%台の減少で、もし今回の予測指数通りになるとこの記録を大きく更新することになる。
2008年10〜12月期から2009年1〜3月期へのゲタ(経済指標の当期期末値の当期期中平均値に対する伸び率)は4.1%という大幅なマイナスで、そのため5四半期連続の前期比減少の可能性も大きい。5四半期以上の連続減少は、1955年以降で3回しか記録がない異常事態だ。
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明治学院大学 経済学部准教授