世界規模で明快な集中と選択を行う企業がある。スポーツブランドの米Nikeは、マーケティング機能やデザイン開発機能に特化し、製造業務については中国やインドの企業に生産委託をしている。「ナイキ」というブランドマーケティングこそがコア業務であり、製造業務は競争力を生まないのだ。ほかの例では、かつてのIBMにおいてPC製品のコールセンターは日本国内ではなくオーストラリアのブリスベンに存在した。オーストリア在住の日本人を採用し、日本人向けのサポートを実施していた。在日外資系の事例として、米Honeywell社の日本法人には会計部門が存在しないと言われる。経費清算業務などの会計業務はすべてインドにアウトソーシングされ、集約されている。
どのように販売していくか、明快なグローバル戦略もある。アパレルメーカーのユニクロは、グローバル競争には規模が必要だとして、海外でのM&Aを成長の柱にしている。2010年で総売上高1兆円を大目標に掲げている。現在は中国での店舗数を100店舗まで拡大することを目指し、ロシアやインドなどの新興国市場への自力参入も検討している。
グローバル市場ではなく地域市場に焦点を当てる企業もある。キリンの目標は、2015年にアジア・オセアニアのリーダーとなることだ。「キリン・グループ・ビジョン2015」(2006年発表)では、「酒類、飲料、医薬を主力事業として、アジア・オセアニアのリーディングカンパニーを目指します」とある。グローバル企業というよりも、アジア・オセアニアの地域企業としての生き残り宣言でもある。今後キリンの成長施策とは、アジア・オセアニア地域内での新市場参入もしくは新製品投入、つまり参入していない新興国市場(タイ、インドネシアなど)への参入か、既存市場への新製品(ワイン、洋酒、飲料、医薬など)投入か、2つの大きな方向性に集約される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授