医療事故、医療訴訟、保障の問題は一筋縄にいかない。医療事故はなくすべきであり、医療訴訟は少ないほうがいいし、保障は十分であって欲しい。事故を減らすには医師・医療従事者の自己研さんは欠かせないが、当直明け手術など厳しい労働環境は緩和して欲しい。不運にも事故が生じた際にはコミュニケーション不足に陥ることなく、誠意を尽くし十分な説明があれば訴訟を減らすことができる。医師の過失が認定されない限り、保障がでないという現行制度はいち早く改善すべきだ。避けがたい事故であったにもかかわらず、保障を充実させるためにわざわざ過失として自己責任を負った医師もいるという。
国内の鉄鋼会社のランキングは常に第1位が新日鉄、第2位がJFEスチール。当然2位の会社は「追い付け追い越せ」が目標となる。世界同時不況の真っ只中をどう乗り切るかが注目される。わたしは経済の専門ではないが、ここ1、2年でその差がかなり縮むと予想している。両社の違いは、大きなストレスにさらされながら大役を果たしている役員たちの健康管理にある。JFEでは2003年より役員全員を対象にアンチエイジングドックを実践し、若さと健康を保つ努力を最大限にしつつ、体力勝負に備えているからだ。
医療経済の話題をもう一つ。投資家によって医療機関が投資の対象になることがある。医療機関は誰のための利益を優先すべきか。それは、病気にかかった患者およびその家族であり、病気になる前の国民全般である。決して投資家を優先させるべきではない。一体投資家はこの歴然たる原則を理解しているのだろうか? 自分たちの都合で不採算部門を閉鎖し、収益の上がる部門を増やしたり、安全性を犠牲にしたコスト削減を行ったり、訴訟に勝つために非情手段をとったりする。もはや医療機関とは言えまい。医療の理念を理解しない投資家は医療分野から退場していただく年になるだろう。
2009年は命、健康、心といったお金より大切なものを見出す年でありたい。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授