世界的な経済危機に直面したことによって、多くの国の人々がお互いにつながり合い、「世界」という名の船に乗っていることを再認識できた。今こそ自分にとって本当の価値とは何かを見つめ直すべきだという。
わたしたちの将来はどのようになっていくのでしょう。多くの人が回答を模索し続けている疑問ですが、人生ではまったく予想もしなかったことがたびたび起こり、自分が影響を及ぼせなかった、あるいは及ぼさなかった出来事によって人生が劇的に変わる場合もあるため、これには誰もが「分からない」と答えるほかありません。
2009年を展望することと過去を振り返ることは、互いに関連しています。先を見る前に2008年を思い起こしておけば、わたしたちの現在の立ち位置や、2009年以降に考えられ得る現実的な発展などを理解するのに役立つでしょう。しかし、前述したように、予見しないことが人生の行く先を思ってもみなかった方向へ変えてしまうことがあるのです。
一部の識者は今日の経済危機を予想していましたが、わたしたちの大半はそのための準備をしていませんでしたし、これほど早く不景気がやって来るとは考えていなかったと思います。多くの人々があっという間に不況の波に飲み込まれてしまいました。経済危機が各地に波及するスピードは驚くほどで、その様子は、この世界でわたしたちが互いにつながり、関係を持ち、依存し合っている事実をまざまざと見せつけてくれました。
人は皆、普段は地元に根ざして暮らし、地元の文化の枠組みの中でものを考えていますが、実際には全人類が相互に影響を及ぼし合っているのです。人間はある国の国民である前に、世界の住人だというわけですね。もちろん、それぞれの文化は異なりますし、国境という境界線もあります。それでもやはり、わたしたちは「世界」という名の同じ船に乗っているのです。
現在のような経済危機を迎えて初めて、世界の一地域で起こった出来事がほかの地域へすぐさま影響を与えるということ、さらにはその規模が非常に大きいことを実感できました。今後はわたしたちすべてが、世界の住人であることを意識しなければなりません。恐らく2009年には、人々の国際人としての意識がより高まるはずです。経済危機によって、自分自身やライフスタイルについて、否応なく今まで以上に考えさせられるようになったのですから。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授