では、どうやってそのボタンを押せばよいのだろうか。実は、さほど難しいことではない。休み明けにスイッチを仕事モードに切り替えるために必要なのは、スケジュール帳(手帳)を見ることである。スケジュール帳を見るだけで、休みの間、自分の頭から離れていたこと――今月の重要な仕事が何なのか、緊急な仕事が何なのかが分かり、自然とモードが切り替わる。重要な仕事、緊急な仕事が分かれば、それを円滑に進めるためにどういう手を打てばいいのか、誰とどのような話をすればいいのか、どんな戦略を練ったらいいのかなどを考えることになるため、頭が回転し始めることになる。
もし、連休中にスケジュール帳をチェックしなかったという人は、今すぐスケジュール帳を開き、重要な仕事は何か、そのために自分がすべきことは何かを考える時間を作って欲しい。仕事ができる人は、この連休中に自分が休み明けに何をすべきか整理し、休み明けからすぐに行動に移しているはずである。少し遅れをとってしまったかも知れないが、今ならまだ間に合う。とても単純なことではあるが、これがスタートダッシュの違いを生み、この積み重ねが、最終的に大きな差となって自分に返ってくることになるのだ。
スケジュール帳チェックはただ眺めるのではなく、すべきことを書き出し、優先順位をつけると良い。なぜなら、紙に書くことでより思考が整理されるからだ。頭で考えたことは、メモをしておかないと忘れてしまい、その都度同じことを考えなくてはならなくなってしまう。すべきことを書き出し、優先順位をつけるだけで、心のスイッチが一気に仕事モードに切り替わり、仕事の効率がグッと上がる。あとはそれに従って行動するだけだ。
なお、このスイッチの切り替えが早い人は、ストレスを抱えにくい傾向にある。スイッチの切り替えが遅いと、プライベートで嫌なことがあったり、仕事で失敗をしたりすると、「なぜ自分はこうなんだろう」、「なぜ失敗したんだろう」と思い続け、どうしてもそれを引きずってしまう。スイッチの切り替えが早い人は、いい意味で楽観的で、嫌なことがあっても「終わったことだ。次にがんばればいい」と前向きにとらえられるのだ。
以前このコラムで紹介した「思考の枠」についても少し触れたい。人には自分が気付いている領域と気付いていない領域がある。「思考の枠」とはこの間にあるもので、思い込みや固定観念、レッテルのことである。思考の枠にとらわれずにいれば、気付いていない領域をさらに広げることができる。
そのためには、さまざまなきっかけによって気付きを起こすことが重要となる。今回紹介したスケジュール帳を見るという行為は、きっかけの1つである。これによって気付きが生まれ、自分の行動を変えることができるはずだ。
休み明けこそあなたの姿勢が問われている。今すぐにスケジュール帳を開き、自分がやるべきことを書き出して、自分の心のスイッチを切り替えよう。そして、それを習慣化するように努めてほしい。
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細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授