日本の造船業界が、反転攻勢に向けた動きを官民で加速させている。
日本の造船業界が、反転攻勢に向けた動きを官民で加速させている。造船業界は中国、韓国の政府主導の補助金政策や設備投資攻勢でシェアを奪われ続けてきた。高市早苗政権は生産基盤の強化などに向けた1兆円規模の基金の設立を決定。近く政府は中長期の戦略「造船業再生ロードマップ」をまとめ、「造船大国」の復権を図る。
「貿易量の99%を海上輸送に依存する我が国にとって国民生活、経済活動、安全保障も支える極めて重要な産業です」。造船について高市首相は、11月4日の衆院本会議でこう強調した。
政府は補正予算などを通じて1兆円規模の基金を作り支援。10年間で建造量を現在の2倍の年1800万トンに伸ばす計画だ。
また、造船業界は「オールジャパン」体制で海運との連携も深める。海運大手と、造船や設計を手がける国内企業計7社は12月1日、アンモニアなど次世代燃料船の設計を効率化する覚書を結んだと発表した。設計の共通化で国際競争力を高める考えだ。
“冬の時代”が続く造船業界。1970年代初頭には日本は建造量で世界シェアの約5割を占めた。しかし、日本造船工業会によると、石油危機後の50年以上に渡り、業界首位の今治造船を除き、大規模な投資はできていないという。背景には、船を運用する海運業界が景気の動向に左右されやすく、船舶の需要も短期間での変動が大きいという事情がある。
一方、中国や韓国は政府主導で大胆な投資を進めてきた。同工業会の調べでは、韓国は2015〜17年にかけ、大手企業に約1.2兆円相当の公的支援を実施。中国は06〜13年にかけ国内企業の造船業界の参入や拡大に対し、約14兆円もの補助金を投入したとされる。
24年の世界の商船の受注シェアは、中国が7割を占める一方で日本は8%にとどまる。「復権」には、海外需要を取り込みつつ、コスト競争力を高めることが重要になる。
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明治学院大学 経済学部准教授