わたしはリーダーの役割を次のように考えている。リーダーとは「他人とともに目的達成に進む人」。部下の足りないものは何かを把握し、指導し、育成する力が非常に重要であるのだ。部下を伸ばすことができるリーダーに共通するのは観察力があることだ。好き、嫌いで人を判断するのではない。人が持っている強みを観察するべきである。
わたしはどんな人間でも必ず強みを持っていると考える。リーダーはその強みを見出し、生かせる仕事をさせるべきである。部下の強みを知るためには、いろいろな仕事をやらせてみるといいだろう。多少の失敗は構わない。きっと何の苦もなく最高のパフォーマンスを出す仕事が見つかるはずである。強みを生かせる仕事を任されると、部下は目を輝かせて取り組み、成果を残すだろう。
強みを生かせる仕事を部下に任せたら、絶えず「よくやっているね」「すごいね」と褒め続けてほしい。部下から見ると、大げさで気恥ずかしく感じるかもしれないが、褒められて嫌な気がする人はいないし、やる気が起こり成果も上げるだろう。わたしは部下をお客様だと考えている。彼らは会社にとって利益を生み出してくれるからである。お客様であれば、喜ばせて気持ち良く仕事ができる環境を整えてあげることがリーダーの役目である。
自分と相性が合うかどうかで人を判断し登用するリーダーもいる。それは絶対にしてはならない。自分に苦言を呈したり、がみがみとうるさいことを言ったりする人も組織を健全に発展させるためには必要である。
人を判断する基準は、相性だけではなく、組織でパフォーマンスがさらに向上するかどうかである。その基準がぶれると、特定のグループや人物だけを重宝するようになり、組織の中で不満がくすぶる。そのような組織は崩壊するだけだ。
リーダーが一人でできることは限られている。部下を多面的に見る姿勢を身に付け、いち早く彼らの強みを見つけることだ。適材適所に配置してパフォーマンスを発揮してもらい、強い組織をつくり上げていく。そのことを改めて肝に銘じて欲しい。
連載「問われるコーチング力」のバックナンバー
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授