不景気にもかかわらずヒット商品を連発する企業もあれば、過去の成功体験にしがみつき埋没していく企業もある。
このたび日経MJによる「2009年上期ヒット商品番付」が発表になった。東西の横綱は「インサイト(ホンダ)&プリウス(トヨタ自動車)」と「ファストファッション」、大関は「990円ジーンズ」と「下取りセール」だった。全体の傾向としては、環境にも懐にも優しい商品やサービスが上位にランクインしている。
100年に1度の経済危機と言われ、景気低迷が叫ばれる中でも、このようにヒット商品を生み出している企業がある。その秘けつは次の4点だと考えている。
1. 消費者がほしい商品やサービスを提供する
2. 消費者が買う気になる値段を設定する
3. 消費者が何かいいことをしているというような気にさせる(環境に良いなど)
4. 何かびっくりするような仕掛けがある
この4つの要素が絡み合ってヒット商品が生まれているのではないだろうか。
先日、ある企業の経営幹部と話をする機会があった。彼は、先ごろ経営破たんしたGeneral Motors(GM)の米国工場を30年前に訪れた時の話をしてくれた。彼がそのとき抱いた感想は、意外にも「この会社は危ないかもしれない」だったそうだ。当時のGMは高級でかっこいいというイメージを世間に浸透させ、ヒット商品を連発していた。しかし彼の目には、その現状に安住してしまっているように映ったという。豪華な車を作りさえすれば、何でも売れると信じ、ただそれを続けている気がしたのだ。
消費者のニーズは時代の流れとともに刻々と変化していく。企業の存亡はそのニーズにどれだけ的確に応えられるかで決まるのではないだろうか。だからこそ、企業はその流れに置いていかれないように必死になるのだ。しかし、GMの工場には消費者のニーズに応えようとする意欲がまったく感じられなかったそうだ。
GMの現状は起こるべくして起こったのである。一度成功した方法や考えが、必ずしも次も成功するとは限らない。今売れているものが未来永劫、売れ続ける保障など、どこにもないのだ。
物事を肯定的にとらえるという姿勢はとても大切なことである。しかし、度が過ぎてしまうと、現状を超える何かを生み出すことが難しくなってしまう。現状を肯定してしまうと、「より良くしよう」「もっと頑張ろう」という成長や改善に対する意欲の芽が出てこなくなってしまうからである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授