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» 2009年11月13日 08時15分 公開

ビジネスマナーなど入社してから身に付けろ!生き残れない経営(2/2 ページ)

[増岡直二郎(nao IT研究所),ITmedia]
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他人任せにするな

 では、企業が要求する能力が明確に規定され、それを学生が正確に認識できたとして、社会人基礎力を学生の身に付けさせるにはどうしたらよいのか。前回冒頭で述べたように、近年、社会人基礎力を社会の中で自然に身に付ける仕組みの働きが相対的に低下し、社会人基礎力と学力との相関関係が低下しているという経済産業省の分析は、家庭や地域社会、学校、大学などでの教育が批判されていることの1つの証左だと言えよう。

 確かに家庭や大学などでの教育を見直さなければならない。例えば、筆者が主張を繰り返している福祉活動や自然貢献活動の長期体験実習を小学校から必修科目として課すことによって、若者たちに人間力を刷り込められるだろう。あるいは、学生時代に部活動やサークル活動など課外活動に消極的である若者ほど、就労経験に乏しいという調査結果(読売新聞2006年5月26日、28日)から、在学時代の課外活動が前に踏み出す力に影響を与えるのではないかと推測される。

 しかし、企業にとっては百年河清をまつようなものだ。家庭から大学までの教育のあり方を見直すことは必要だとしても、企業は年々、いや日々、有能な人材を必要とするほどひっ迫している。他人任せにはできない。自らの手で人材を育てなければならない。それには、教育体系を整備し、座学や実習などを徹底すべきだろう。

 何よりも効果的なのは、オンザジョッブトレーニング(OJT)だ。ここで言うOJTとは、あらゆる機会に人材を育てるということで、それを企業文化として根付かせることだ。日常のあらゆる業務、あらゆるやり取りが教育である。育てるべきテーマを明確にして、大小を問わず、すべての業務にテーマを課すのだ。そして徹底して鍛え、意識的に行う。若者は、先輩や上司の背中を見て育つ。やがてOJTの雰囲気が企業文化として定着すれば、意識せずに行われるようになる。

 そのほか、飲みに誘う、上司宅へ押し掛ける、スポーツ大会や芸能大会などの社内行事で汗を流し無礼講の接触をする。娯楽もろくになかった昔の時代の結び付きをもう一度、とは決して言うまい。しかし当時の日本的結び付きの中で、悩みを聞き、苦労と経験を語りながら、どれだけ社内の人材教育がなされたかは、参考にするところ多だ。

 そうした日々のOJTに対して、体系的に整備された座学が理論付けをする役割を担う。やがて、本物の主体性、実行力、課題発見力、打たれ強さなどが、若者の骨の髄まで自然と染み付いていく。企業は、教育を他人任せにせず、自ら積極的に取り組まなければならない。


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著者プロフィール

増岡直二郎(ますおか なおじろう)

日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。



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