日本の教育を改革する際の方法は2つ。「スーパースパルタ」の韓国方式と徹底的に考える力を養う北欧方式だ。
民主党はしきりに脱官僚というが、「脱官僚」とは今官僚がやっている仕事を今後は誰がやるのかということだ。もちろん政治家がやらなければならないが、肝心の民主党の力量が分からない。彼らの政策集を見ていると思いつきのアイデア集というか脈絡のない願い事が並び、こういっては失礼だがまるで「七夕の短冊」のような印象を受ける。
今回の選挙では、僕の教え子も複数民主党から当選しており、民主党に対して決してネガティブな立場ではないし、政権交代には大賛成だ。しかし、なまじ個々の政策や人材を知っているだけに、彼らに強いリーダーシップを発揮できるのか、官僚がうなるようなビジョンを出せるのか、不安を感じる。
日本はリーダーシップのとれる人材が圧倒的に不足している。ロシアのプーチン大統領や中国の指導者のリーダーシップは強烈だよ。僕がアドバイザーを務めていた中国・大連市長の薄烈来(ハク・キライ)さんという人がいるが、彼は僕がアドバイスしたことを次の月にはもう実行に移す強烈な個性と指導力があった。毎月「もう次はないですか」という感じなんだ。いまは重慶市の書記で、彼が着任早々町の景色が変わるくらい大きく変わった。
重慶マフィアと呼ばれた悪い奴らを片っ端から刑務所に突っ込み(総計1544人!)、ゴミなどを拾わせ、街はすっかりきれいになった。それから経済エンジン全開で、2007年の12月着任以来年率13%で伸びている。米国のフォードから400億円の自動車工場の建設を引き出し、日立にはモノレールを発注している。これを2年経たずにやってしまうのだから半端ではない。すでに実績をぶら下げて北京入りする、といううわさも出はじめている。
中国は独裁国家といわれているが、市長レベルでは非常に人材が育っている。ひとりの人間の登場で街がよみがえるほどだ。それに比べたら日本の地方自治体の首長はだらしがない。マスコミにはよく顔を出すが、彼らは実際に自分の自治体の経済発展のために何をやったのか、4〜5年後に、GDPが上がるなどの業績を残したかと問いたくなる。
中国は5年連続で8、9%という経済成長を成し遂げた――といった実績でリーダーを評価する。民主党の行政刷新会議に現職の知事が入っているようだが、中央に対して物申すことで有名になった知事を集めて何かやればそれが地方自治といえるのだろうか。僕の眼にはお笑いに映るよ。
インドネシアもスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領になって見違えるような国になった。僕はマレーシアのマハティール元首相のアドバイザーを18年やったが、優れた指導者というのは、国を良くするためには何が必要かという点に関して妥協をしない。とことんやる。彼も僕が行くたびに質問の山だったよ。何かあればすぐに閣議を招集して、実行に移す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授