Webマーケティングの要素を因数分解し、出てきた課題を1つずつ克服していく。こうした緻密な改善がリクルートエージェントのWebマーケティングの構造を変え、総コストの3〜4割削減や転職希望者の登録数を増やしたことは間違いない。だが、単にボトルネックをなくしていくだけでは、Webマーケティングで明確な成果を上げることはできないと青葉氏は言う。
「マーケティングと経営を結び付けて最適化をしないと、Webマーケティングの構造改革はもたらされない」。青葉氏は今回の取り組みで成果を上げた秘訣(ひけつ)をこう説明する。
実際、リクルートエージェントの場合、転職希望者の登録数、登録者を獲得するコストの単価や総コストの削減値、成果を出すための人材の再配置などを綿密に計画し、KPI(業績評価指標)に落とし込んだ。Webサイトの設計やリスティング広告の改善は「目的」ではなく「手段」という位置付けだった。
さらに、同社のWebマーケティングを担当する専任部門を作り上げ、8つに分散していたWebマーケティングの部門を3つに集約した。「マルチタスクに陥っていた」(青葉氏)担当者の業務範囲を明確にし、細かなキーワードの設定や入札の手続きを必要とするリスティング広告を管理する人材を増やした。組織の足場固めも率先したのは「会社でWebマーケティングに携わっている部門は、Webマーケティングを専門にやっていかないと成功しない」(同)という信念があったからだ。
「Webマーケティングは多面的に施策を講じていく必要があり、部分だけにこだわった改革では相乗効果は見込めない。また浮いたコストを次のIT投資にどう回すかを経営側に理解してもらえないと、Webマーケティング自体も立ちゆかなくなる」(青葉氏)
企業がWebを改善して成果を上げようとする場合、SEOやSEM、LPO(ランディングページ最適化)といった項目に目を奪われがちだ。だが、個別の改善では想定した成果を上げることはできない。青葉氏は「マーケティングと経営の全体を見て最適な手法を選んでいかないと、(Webマーケティングにおける)構造改革はもたらされない」と力を込める。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授