この責任範囲の分担の下、情報システム部や情報システム子会社の「ヘッド」はCOO、CIOいずれになるのだろうかという疑問が出てききます。
それぞれの責任範囲をそのまま適用して考えれば、COOの下には新規の業務システムの企画周りを担当するグループ、CIOの下には開発・運用を担当するグループと基盤関係の企画周りを担当するグループという形になります。
ここで考えておくべきこととして、多くの企業において情報システム部門員のスキルやキャリア形成は悩ましい問題となっているということです。
情報システムの専門家を目指すには、システム構築の経験の機会が少ないという制約、配属された社員にとって情報システム部での経験が(将来の昇進を考えた場合)必ずしも魅力的ではないという背景など、さまざまな問題点を抱えています。
COOの下に情報システム部を置くことで、オペレーション改革の一員としてITに従事させることは、今までとはかなり異なった職業経験を積むこととなりますから、悩みの解決にかなり効果的ではないかと考えられます。
さて、新たなCIOの責任範囲ですと、システムの維持費に関しても明確な成果を出すことが求められてきます。ここで切実な問題に直面するのは情報システム子会社でしょう。
維持費のかなりの部分を占める人件費を雇用の問題を視野にいれながら、どのように対応していくのかというなかなか難しい経営判断が求められてきます。
ただし「今のままの情報システム子会社では数年後立ち居かなくなる」という危機意識をお持ちの企業も、この1、2年でかなり増えてきた実感をコンサルティングの仕事を通じ抱いています。
ここのところITに関する投資は低調です。ただ、これは冷静に物事を考えるには良い機会であるともいえるでしょう。CIOと本社情報システム部門と情報システム子会社のこれからの在り方について冷静に再定義するときだといえます。
ローランド・ベルガーはドイツを起源に、高度なプロフェッショナルサービスを展開する戦略コンサルティング・ファームです。設立以来40年以上にわたり、自動車や消費財などの製造業、金融、流通、通信・情報技術などのサービス業においてグローバルな視点でのコンサルティングサービスを提供しています。
早稲田大学政治経済学部卒業後、米国系戦略コンサルティングファーム、米国系総合コンサルティング・ファーム、米国系ITコンサルティング・ファームを経て現職。電機、建設機械、化学、総合商社、銀行など幅広い業界の大手企業において、事業戦略、オペレーション戦略、IT戦略の策定などを手掛ける。
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明治学院大学 経済学部准教授