なぜこのような若者が増えているのか。彼ら自身にも原因があるかもしれないが、育ってきた環境が大いに影響しているのではないだろうか。
1つ目はテレビ番組の多様化やインターネットの普及による影響である。今はテレビやインターネットを通じて、自分の興味関心があるあらゆる情報を自宅にいながら手に入れることができ、多くのことを疑似体験できる時代である。
例えば、ケーブルTVのあるチャンネルでは、宮崎まで行かなくても巨人軍の春季キャンプをライブで自宅にいながら楽しむことができるし、インターネットで海外旅行好きの人のブログをのぞけば、旅費も時間もかけずに、本来は現地に行かなければ見られないであろう光景を垣間見ることができる。
しかし、自信とは自ら挑戦した結果の蓄積で生まれてくるものにほかならない。テレビやインターネットを通して、どんなに体験したつもりになっても、それはやはり部分的な映像であり疑似体験であって、自分の体験ではない。日常にあふれ出ている情報が、彼らから自信を得る機会を奪ってしまう要因の1つになっているではないだろうか。
また、インターネットの普及は、いつでも簡単に答えを得られる状況を作り出した。以前は、疑問に思ったことは辞書で調べ、誰かに聞くなど、自らが動いて解消していたし、悩みがあれば自分で考え、誰かに相談し、時間をかけて自分なりの答えを導いたものだ。しかし、今は検索ワードをいくつか入力して、検索ボタンをクリックすれば、疑問はあっという間に解消されるし、同じような悩みを持つ人がどう考えているのか、どうやってその悩みに立ち向かったのかを知ることができる。単語の意味のみならず、自分の中にあるモヤモヤさえもすぐに解消できる今、彼らはすぐに結論を求めずにはいられないのだ。
2つ目は、不況の中で育ち、バブル崩壊後に採用された世代であるため、将来への不安、特に金銭的な不安を抱えている。これが最も大きな影響を与えているのではないか。自己防衛本能が強く働くために、失敗を恐れて挑戦しようとせず、成果がすぐに出ることだけをやりたがる。
このように、彼らを取り巻く環境が結論を急ぎ、自信が持てない若者たちを作り出しているのである。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授