日ごろお会いする企業のリーダーの方々から「最近の若手社員の考えがまるで分からない」という意見をしばしば聞く。上司としてどう対応すれば良いのだろうか。
「若手社員が何を考えているのか分からない」
ビジネスコーチングの研修やセミナーを通してお会いする多くの企業リーダーが最近よく口にしている。「草食男子」という言葉などがはやっているが、彼らのような存在を理解できない人も多くいるのが実情なのである。
先月から始まった連載「ビジネスマンの悩み相談室」では、研修などを通して出会った方々の悩みを取り上げながら、わたしなりの解決策をお話ししていく。今回は若手社員の育成の悩みについて解説していきたい。
C係長は新しく配属されてきたM君に悩んでいた。M君は仕事を与えた直後はやる気を見せて頑張るものの、その頑張りが持続せず、徐々に手を抜いてしまうことが多かった。
ある日、C係長は懇意にしているクライアントから紹介を受けたW社の担当者の元にM君を連れていった。C係長はM君に、その後のフォローを行い、進ちょく状況を知らせるように依頼したが、何の報告もないまま数週間が経過した。
この案件はM君に任せようと思っていたC係長であったが、さすがに気掛かりで自らM君に進ちょく状況を尋ねた。すると、次のような返事がきた。
「あのクライアントはプッシュしても全然動かないんです。意味がないですよ」
C係長はM君の発言に驚いてしまった。
こうした部下を持つ上司にわたしは何度もお会いしたことがある。彼らは部下がすぐにあきらめてしまう点に悩まされているようだ。最近の若者に顕著な傾向として、次のようなものがある。
(1)自分に自信が持てない
(2)インスタントである
まず、自分に自信が持てない人が多い。自信がないために、防御しようとして、人を見下し攻撃する。その結果、自分に甘く、他人に厳しくなってしまうのだ。自分が危機にさらされると考えるのか、他人と協力し合おうとしないのである。
次に、実にインスタントである。インスタントとは、結論を急ぐことである。特に失敗する可能性が高かったり、自分にとってメリットが少ないと判断した事柄に対する見切りが早い。すぐに結果を求め、とことん努力しようとしない。要するに、粘り強さが足りないのである。
物事に少しだけ取り組み、すぐに成果が出ないと、これは自分に合っていない、自分は別のことがしたかったと結論付け、止めてしまう。転職が多いのも、結論を急ぐ傾向が影響していると言えるだろう。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授