新規事業をブレイクスルーさせるために必要な「相談力」。知っているようで知らない、その具体的な方法について、事業開発のプロであるトイトマ代表取締役 山中哲男氏が秘訣を語る。
ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会に『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』の著者トイトマ代表取締役 山中哲男氏が登場。企業の新規事業開発、既存事業の戦略立案策定、スタートアップ創業期の事業づくり、街開発などを行っている事業開発・事業戦略の専門家である山中氏が、「事業をノロノロ運転からブレイクスルーさせる秘訣」について、講演を行った。
丸亀製麺の海外進出から、大阪万博、官民連携プロジェクト、注目スタートアップの育成まで手掛ける事業開発の専門家である山中氏は、「事業創造を通じて“誰かを想う”構想を現実のものへ」をミッションに掲げている。経営者、組織の中核事業担当者などに対し、参謀、メンター、PMO、PMとして、それぞれの事業の目的実現に向けて事業推進の伴走を行っている。
多くの事業推進を行ってきた山中氏は、現代の急速な変化の中で、事業をブレイクスルーできる人材とは以下のような人物だという。
これらの要素を身に付けるうえでキーワードとなるのが「相談する力」だ。
相談とは、行き詰った物事を前へ進めるための手段だ。事業を行ううえで行き詰まってしまう、ネクストアクションが見えない、そんな時誰かに相談をすることで、ネクストアクションが見えてくる。やるべきことが決まり、行動することで次のステップへ進むことができるのだ。
では、どういう人に相談すればいいのだろうか。山中氏によると、相談相手は、その事業のフェーズによって違ってくるので、現在地を把握する必要があるという。
未検証のアイデアや思いつきを1人だけで考えている状態「見立て」フェーズでは、自分よりその分野において1年先輩というレベルの人や、コミュニティハブとなる人に相談するといい。そういった気軽に相談できる人に相談することで、ぼんやりしていたアイデアが整理され、ネクストアクションが見えてくる。
次に、目的や顧客像、サービス設計などについて検証を行って一次情報を得ている「仮説」フェーズの相談相手は、専門性の高い人がいい。高い専門知識を持つ人に相談をすることで、仮説の検証ができる。このフェーズでは、そうやって仮説検証を繰り返しながら、知見を高め、事業に対する解像度も高めていく。
次が「計画」フェーズとなる。ここでは、多面的な視点を持つ人に相談するといい。具体的には、その分野に対する「実践知が豊富な人」や「見識が広い人」だという。ネクストアクションが見えづらいときは「実践知が豊富な人」に相談し、自分が見えていない選択肢を探すときは「見識が広い人」に相談するといい。
「実践知が豊富な人とは、その分野の専門家のことで、見識が広い人は、大学教授や研究者などです。私もそういった人に相談して、他のサービスとの客観的な比較や分析など、新しい視座を得てハッとすることが多くあります」(山中氏)
気軽に相談できる人、専門性の高い人、多面的な視点を持つ人……。フェーズごとに別の相談相手が必要となるが、そんな相談相手が身近にいないという人も多いだろう。そんな人は、一度でも会った人とゆるやかなつながりを作っておくように意識するといいだろう。
「例えば、6人の食事会があったら、全員とつながるのは難しいので、隣の席になった人とだけは仲良くなっておく、といったことを心がけましょう。そういったことを積み上げていくと、無理のない範囲でゆるやかなつながりができ、少しずつネットワークが広がっていきます」(山中氏)
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明治学院大学 経済学部准教授