情報システム子会社――再生か売却か戦略コンサルタントの視点(2/3 ページ)

» 2010年04月27日 12時09分 公開
[鈴木信輝(ローランド・ベルガー),ITmedia]

調達力と目利き力でITマネジメント会社として再生すべし

 こうした知識と経験を前提に、より低コストで効果的な事業運営に貢献する「グループ企業ITマネジメント会社」へ、さらに一段レベルを上げて「グループ企業オペレーション・マネジメント会社」とでもいうべきものへと変身していくことが情報システム子会社には必要となってくるでしょう。このためには少なくとも、ベンダー調達能力、技術の目利き力の強化が必要となってきます。

 情報システム子会社と外部の専業ベンダーを比較した場合、システム構築などのプロジェクト経験値で劣ることは否めません。ただし、明らかに優位に立てる要素として「調達側であること」が挙げられます。グループ企業のシステム調達をどれだけ経験してきたかがポイントになってきます。

 ただし、長い付き合いのあるベンダーに、おおまかな要件だけをざっと伝えておいて、提案や見積もりを準備してもらい、さらにはユーザー部門への説明資料までをも準備してもらう、といった調達スタイルでは経験を積んだことにはなりません。

 必要となるシステムの提案依頼書の準備、提案書の査定、価格や契約の交渉といったことを中心に回していかなければ経験を積んだうちには入りません。この経験を地道に積んでいくことで、初めて専業ベンダーに食い物にされないだけのベンダーの管理力が養われていきます。

 技術の目利き力は、こうしたシステム調達や改革プロジェクトの経験、さらには有識者や経験者からの直接の指導、外部情報に触れて学ぶ機会などを適切に提供していかなくては育ちません。本社への出向、外部ベンダーへの出向など、「グループ企業だからこそ提供できる成長機会」を担保していく必要があるでしょう。

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