コストセンター子会社からの調達価格は、1.外注費など外部からの再調達価格、2.マージン(利益)部分、3.自社内で付加価値をつけている内製作業費の3要素に分類できる。これら全ての要素に対して徹底的にメスを入れることで、コストセンター子会社のコスト競争力は大幅に高まる。
まず、「1.外部からの再調達価格」が割高となる原因は、調達プロセスの不完全さや外部サプライヤーに対する管理レベルの低さが考えられる。専門の調達部門を持たない場合が大半であるコストセンター子会社では、固定的な調達先に対して属人的なルールで発注がなされていることが多い。そのような場合は、第3回で述べた外部調達コストの削減手順を活用して徹底的に適正化していくことで大幅なコスト削減がもたらされる。また、バイイングパワーの問題で調達価格が高止まりするケースもあるので、親会社と一体となった対応も積極的に志向すべきである。
次に、「2.マージン部分」が過剰となる原因は、管理部門や営業部門が必要以上に重く高コストになっているか、外部に対する低収益ビジネスの穴埋めなどのため多めのマージンが取られているか、あるいはその両方であるかと想定される。管理・営業部門の肥大に対しては、i. 出向者の受け皿機能の意味合いが強く、人余りや、管理ポストの過剰が生じていないか? ii.本来ならば手間がかからないはずの対親会社営業に必要以上に工数をかけていないか? iii.人員平均単価が高止まりしていないか? の3つの視点で切り込むことが有効である。
人件費単価に関しては、センシティブな問題であるが見過ごすわけにはいかない。出向者や親会社からの転籍者に、プロパー社員が入り交じり、賃金カーブがいびつに陥ってしまっているケースが多い。平均賃金ベースで市場価格との乖離(かいり)を評価すると同時に、全体を引き下げるプランを立てていくことが重要である。低収益ビジネスの穴埋め問題などに対しては、基本的に子会社管理の問題であり、後述する「グループマネジメントの高度化」の中でその対応策を述べる。
3つ目の「3.内製費」が割高となる原因は、人件費単価の問題と業務の生産性の問題に分けられる。人件費に関しては、管理・営業部門と同様に親会社の人件費に影響を受け、業界水準から逸脱していたり、出向社員を抱え構造的に高止まりしたりするケースが多いので、外部ベンチマークを参考に適正レベルに修正していく。
業務効率に関しては、業務分担の見直しや多能工化による繁閑差解消や処理能力のバラツキの解消などいわゆるBPRの手法を用いて徹底的に生産性の向上を行う。同時に、自社コストと外部業者のコストを比較し、内外製の見直しにも踏み込んでいく。こういった地道な改善活動をドライブするためにも「グループマネジメントの高度化」によりコスト削減を積極的に取り組むための動機付けが非常に重要になってくる。
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明治学院大学 経済学部准教授