最終回は、調達の問題の中でも近年特に検討されている論点として、コストセンター子会社からの調達について取り上げたい。
第3回では調達コスト削減のための成功ポイントについて述べたが、シリーズ最終回となる今回は、調達の問題の中でも近年特に検討されている論点として、コストセンター子会社からの調達について取り上げたい。ここでコストセンター子会社とは、親会社、あるいはグループ会社へのサービス提供を主な生業とする会社のことである。前回でも少し触れたが、この問題は高度成長期に、事業にかかわる全ての付加価値を内部に取り込むために多くの子会社・関連会社を設立してきた大手企業共通の問題である。
高度成長時代はある意味で経営資源が不足しがちな時代だったため、内部にリソースを抱えることが経済合理性に合っていた。将来の拡大を見込み、余裕を持たせた投資実行などは子会社ならではのメリットであったと考えられる。一方、低成長時代においては、各種周辺業務においてより専門能力を持ち、安価にサービス提供する企業も増えているので、子会社・関連会社のあり方はゼロベースで見直す必要がある。
コストセンター子会社からの調達が割高になる要因としては、身内であるがゆえに委託内容とその対価があいまいになる、余剰人員の受け皿として収支が度外視される、「割高」でも連結でみれば同じであるといった誤った認識をされる、などが挙げられる。その結果、子会社側に積極的にコスト削減を進めるという誘因がなく、いつまでたっても割高な状態が是正されない。さらに、こういったケースでは、子会社が外部サプライヤーから調達している財やサービスについても割高となっている可能性が非常に高い。
また、コストセンター子会社に対しては、外部取引により収益拡大も目指すといった目標が漫然と与えられているとことも多い。そういったケースでは、価格的に無理な値引きをして外部顧客の獲得に走ることとなり、外部取引ででた赤字を補うためにも内部取引は割高なまま維持しなくてはいけないといった状況に陥っているケースもよく見受けられる。
このような割高に陥ったコストセンター子会社からの調達を適正化にしていくためには、子会社自体の「コスト適正化の徹底」と「グループマネジメントの高度化」が必要と考える(詳細は、書籍「最強のコスト削減」(東洋経済新報社)にて確認いただきたい)。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授