弁護士事務所や会計事務所等の多くの専門職員を抱える組織では、有資格者の数と併せて、高度なスキルや知識を持った人材の数が競争優位の源泉となります。ところが、このような組織では一般的に非常に離職率が高く、特に「売れる」人材ほど組織に固執しない傾向にあり、優秀人材の引きとめは各社共通の課題であります。一方で封建的で官僚主義的な社風は、せっかく獲得した優秀な人材がそのパフォーマンスを期待とおり発揮できないというジレンマも存在しています。
以下は、ある専門職職員を多く抱える企業の人材マネジメントの事例です。
【ケース概要】
A社は専門的知識を有する社員、弁護士・会計士等の資格を有する社員により構成された、アドバイザリーサービスを提供する企業であり、優秀な有資格者の確保に懸命ですが、一方で高い離職率に苦しんでいました。一見、同じ価値観を持った同質人材の集合体に見える組織であったため、どの社員に対しても同じようなマネジメントスタイルを適用していたため課題がありました。
離職の理由はさまざまでしたが、調査の結果、社員のキャリア観や業務に対するストレス度にばらつきがあり、本ケースでは個々の社員(もしくは価値観の親和性が高いグループごと)に適応した多様性のある組織や制度設計の検討が求められました。ダイバーシティチームでは、組織診断から業績指標の設定までのプロセスを約6カ月の期間を通して行いました。
PwCでは、以下のステップに従ってアプローチを行いました。
【ステップ1:ビジョン策定と組織診断】
多様性に関する共通意識の醸成
多様性の理解に向けた入念な調査
【ステップ2:認知した多様性の理解による組織パフォーマンスの向上施策立案】
業務に対するストレス(期待役割とキャリア観の差異)の影響分析
【ステップ3:個別フィードバックの実施とキャリアプランの作成】
フィードバックおよび行動計画表の作成
【本ケースで得られた効果】
プロジェクト終了後の社員に対する調査では、各社員の仕事に対する満足度が向上し、社内のミーティングなどにおけるコミュニケーションの効率性が改善されたことが分かりました。
本ケースでは、専門職を多く抱える企業を取り上げていますが、大半の企業は、所属する業界・業種において専門性を有した人材を多く抱えており、上記アプローチは様々な業界・業種の企業にも適用可能である、と言えます。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授