エコシステム・マーケティングの例として、本荘氏は「コカ・コーラ パーク」を挙げた。900万人を突破したというユーザーコミュニティーであるこのサイトは、実質的には日本コカ・コーラのOwnedメディア(自社メディア)だが、Paidメディア(マスメディア)にも近い性質を持っている。というのも、広告枠も設けられており、そこから運営費の一部を捻出しているからだ。
「コンシューマーに多いニーズ『低コストで楽しく暇を潰す』ための、素晴らしいソリューション。スポーツ関連の情報、例えばワールドカップの試合速報なども、スポーツ新聞より迅速に提供されている」(本荘氏)
その魅力が読者すなわちコンシューマーを引きつけていく。そして、さまざまなパートナーとの新たな結合、すなわち企業や組織との連携がそれを強化する。
「消費者はいろいろなメディアに触れている。逆にいえば、このような手法を通じて企業は消費者にいろいろなメディアからアプローチできることになる。こうした手法は、単発の広告と違って継続的なリレーションにできる」(本荘氏)
なお、このような他社とのパートナーシップにおいては、その深さによって何段階かの連携方法がある。最も簡単なものは「出稿」だろう。自社媒体などに広告を出稿してもらう、あるいは他社媒体に広告を出稿するといった関係は、手軽にコラボレーションできる。これに対し、より進んで顧客情報の共有やマーケティング目標の共有、さらには経営課題の共有へと踏み込んでいくことは容易でなく、システム間連携なども行うため時間やコストも必要となるが、より深く継続的にコンシューマーへのアプローチが行える。
また、これまでにない新たな分野の企業とのパートナーシップを結ぶことができれば、その意外性も含めて顧客や市場から注目を集めることになるだろう。
しかし、どのようなレベルでのパートナーシップを結ぶにせよ、重要なことがある。「パートナーシップエコシステム戦略で不可欠なもの、それは「自らの存在意義、パートナーへの魅力」。業種の垣根を越えたテーマの設定が必要だ」と本荘氏は言う。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授