つまり、いわゆる「デキル」管理者ほど、自分の力を過信しすぎる傾向があります。
しかし、なすべき業務を整然と整列させて、部下に明確な指示を与えることこそが、優秀なリーダーとしての第一の仕事と心得なければなりません。リーダーが混乱していては、部下のモチベーションも上がらないのは当然のことです。もし「部下の仕事率が悪い」と嘆いている管理者があれば、まず自分の在り方を再チェックすることから始めるべきかもしれませんね。
甘やかすのではなく、従業員と適切な関係を築く管理者と従業員の適切な関係とは一体どういう事をいうのでしょうか? 通常であれば、そこには主従の関係があるとされていますが、何事においても指示命令系統をトップダウンにしてしまうと大きな過ちが起こってしまうと思います。
本著において「管理者は、感情的になっている従業員を甘やかすという失敗を頻繁に犯してしまいます。管理者は従業員に良く思われたいがため、また、従業員の不安定な態度が職場に広がらないようにするために、この問題に深くかかわりすぎてしまいます。その結果、その従業員と親子のような関係が生まれてしまいます。これは職場にはふさわしくない関係性です。また、締め切りを守れなかったり、レポートを提出できなかったりした従業員を自室に呼び出すようなことをしてはいけません。しかし、従業員のプロ意識に訴えかけ、業務を完成させなければならない理由を説明することはできます。このように意見を一致させるために、感情的になる必要はありません。従業員に責任を実感させるような関係を築きましょう」と書かれています。
従業員との関係性が「親子」のようになってしまうのは、なかなかユニークで鋭い指摘です。叱ったり、時に甘くなったりというのは、結局、従業員を一人の人間として尊重していないことになります。そこから、父が息子に対するような、庇護の関係(ここでは正しくない在り方です)が発生してしまうわけです。
ここは、従業員を一人のプロとして尊重し、対等の立場において、仕事と責任を貫徹させるようにもっていくのが、正しい在り方であるとわたしは言っています。
その管理者の在り方こそが、従業員の自我を刺激し、自意識を育て、一人前のプロとしての自覚とモチベーションをアップさせることになるわけです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授