「褒めて伸ばす」のか「叱って伸ばす」のか、社員教育にはこのどちらが良いのか?
多くのところで議論されている問題と思います。本著においては前者を推奨しているようで、ここではその具体策が論じられています。その一部をご紹介します。
「管理者と従業員の関係において、肯定的な態度は常に、否定的な態度よりも望ましいとされています。チーム育成の訓練を提案する時であれ、誰かを褒める時であれ、全ての機会を従業員の気持ちを高めるものとして受け止めることが大切です。チームメンバーからのアイデアをすぐに拒絶するのではなく、快く受け入れましょう。従業員のアイデアを受け入れれば、従業員からの評価が上がり、前向きな姿勢を取ることにより生まれるメリットを得ることができます」
子育てにおいても、動物の訓練においても、優秀な教師やトレーナーはみな「褒める育て方」をします。誰だって、褒められれば率直に嬉しいわけで、嫌な気持ちのする人はいません。そこに快感感情が生まれ、次への意欲となり、モチベーションが高められていくわけです。否定されれば自信をなくします。
「なにくそ!」とガッツでぶつかってくる者であればそれもOKでしょうが、一般的には叱ることから生まれる恐怖感や嫌悪感は、部下を萎縮させ、意欲を萎えさせてしまいます。
部下のアプローチが誤ったものであっても、その中によい点を見出して、そこを評価するというようなあり方が望ましいと言えるでしょう。従業員のモチベーションを上げるには、まず自分がリラックスすること。ここ一番の大勝負を目の前にすると誰でもが緊張するのは当然のことです。
しかし、そういう場面において管理者が従業員に指示をするとき、管理者自身に余りにも力が入り過ぎると従業員はどうなるのでしょうか。
結果は誰もが想像するようになってしまいます。本著ではそれを野球に例えて面白く説明しています。「9回裏にホームベースに立つバッターのことを考えてみてください。チームは1点差で負けており、2アウト満塁です。サードベースのコーチがタイムを要求し、ベースラインの真ん中でバッターの肩に腕をまわし静かな口調でこう言います。
“落ち着け。肩の力を抜くんだ。バットを握る手に力を入れすぎるな。心配するな、お前なら大丈夫だ”
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授