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» 2010年10月19日 09時49分 公開

生き残れない経営:製品の品質には企業の本音が表れる (2/3)

[増岡直二郎,ITmedia]

 次に、品質管理の意識についての問題である。

 C社では、品質管理(品管)部長が製品を出荷するか否かについての絶対的権限を持つ。筆者は何度も経験したが、どんなにお客が騒いで来ても、営業が要求して来ても、あるいは経理部門が業績の関係で出荷を要求しても、品管部長が品質に疑念があるとか、テストが終了していないとかという理由で製品の出荷を止め続けた例が山ほどある。

 品管部長の上司に当たる事業所長は役員で、事業所の最高責任者だが、彼さえ最後には品管部長を動かすことができない。品管部長が事業所長に対して「わたしをクビにしてから出荷して下さい」とすごんだ場面を一度見ている。品管部長は、何を背景にそれほどの権限を発揮できるのか。そして周囲はそれを認めるのか。これは、長年培われたC社の企業風土というしかない。そのことに違和感がまったくない意識が、C社全社員に浸透、共有されているのだ。

 最後は、品質管理教育についてだ。

 D社では、品質管理について反省と教育の機会を得るために、本社からそうそうたるメンバーが工場を巡回して、重々しい品質会議を開催する。メンバーは、本社の古老の技術系幹部を頭に、事業部幹部、品質管理関係幹部らからなる。年1回受け入れる各工場の準備は、大変なものだ。当該工場の1年間の製品品質に関する不良事故から、重大な内容が2件選ばれて議題になる。目的は、事故の反省とそこからの教訓を、出席者全員で共有しようとするものだ。

 D社創業以来続けられているだけあって、大変権威ある会議として位置づけられており、D社品質管理教育の中核をなすものでもある。しかし、最近その本来の趣旨が形骸化する傾向が見られるのが心配だ。ある時、ある工場でその会議の開会が宣言されようとした時、事業部長が急に発言した、「今日の会議は延期する。厳粛なこの会議に白でなく、カラーYシャツを着て出席する者がいる。何を考えているのか!」。

 たまたま古老の技術系幹部が欠席していたこともあり、その日の最高責任者は事業部長だった。事業部長の力みは分かるが、クールビズやウオームビズが当たり前の今時、しかも内部情報よりも外部情報に敏感であるため外部に触覚を働かせる姿勢を優先させなければならない時代に、外部世界では当たり前のYシャツの色という形式にこだわるのはどんなものか。

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