この楽天スーパーDBについて、景山氏はこう説明する。
「楽天スーパーDBは、われわれのグループプラットフォームである。楽天はいろいろなサービスをインターネット上で提供しているが、IDやポイント機能などはどのサービスでも共通して使うものであり、こうした機能をサービスごとに独自開発していると効率が悪い。そこで各サービスが共通に使うこうした機能は切り出し、グループプラットフォームという部門で一元管理している」
景山氏がこういうように、同社が新しいサービスを開始するときは、このグループプラットフォームに用意されている機能を取り込む。これによって開発コストは低減され、開発期間も短縮できる。
この楽天スーパーDBを核に、同社はいわゆる「楽天経済圏」を形勢しているという。楽天の多彩なサービス群を見る限り、まさにひとつの経済圏であることは間違いない。
「楽天経済圏の中央には楽天会員IDデータベースがあり、1つのIDですべてのサービスを使えるようにする仕組みがある。楽天スーパーポイントやクーポンシステム、共通決済といった機能を一元的に、その顧客に対してどのサービスからも提供できる」というように、この巨大な世界をひとつのIDで管理しているというのが、楽天経済圏の大きなメリットといえる。
また、楽天経済圏を形成する主要な要素として、楽天スーパーポイントがある。これは楽天が世界で初めてインターネット上に導入したポイント・プログラムで、楽天のどのサービスを使ってもポイントがたまる仕組み。各サービスの壁を超えたビジネス機会の増加(クロスセル)やロイヤリティの促進および顧客保持といった狙いがある。
「あるサービスを使ったお客様に対し、別のサービスでもポイントアップ・プログラムがありますとアピールすることで、楽天経済圏が拡大することになる。それにこのポイントアップ・プログラムは非常に大きな役割を果たしている」
さらに楽天は、楽天経済圏の拡大で次の手を打ってきた。楽天クーポンである。これはオンラインショッピングにクーポンを利用できる国内最大級のサービスで、ライトユーザーの利用促進や新規顧客の獲得などが期待できる。
「これは、2010年のはじめから準備を進めてきたもので、今後はポイントとクーポンの合わせ技で楽天経済圏の中でしっかりお客様に満足を感じていただけるようにしたい。現在はネットスーパーサービスと楽天市場での利用が可能になっているが、ほかのサービス、事業でも使えるよう準備を着々と進めている」という。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授