時代の流れで変わるリーダーの本質海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/5 ページ)

» 2010年11月03日 00時00分 公開
[ITmedia]

変化しつつあるリーダーの本質

 時代の流れとともにリーダーの在り方も当然変化していくものです。かつて狩猟や農耕の時代の、体力や技術を求められた時代に始まり、戦闘力や勇気を求められた動乱の時代を経て、現代のリーダーに求められるものは知力へと変わってきました。そして、さらにこれからのリーダーの在り方は、どのように変化していくのでしょうか。

過去数十年の間に、ビジネスの世界はますます協働的になって来ています。例えば、誰でも無料でダウンロードできるオープン・ソース・ソフトウェアは、正式なリーダーシップを持たずに共同作業を行う技術者により開発されています。また、ウィキを使って、多くのユーザーは協力してWebサイトコンテンツを作っています。さらに、クラウドソーシングでは、企業は、もともと自分の社内で扱っていたプロジェクトを外部のグループに委託しています。

このようにコラボレーションが増える中、リーダーシップも変わらなければなりません。現代のリーダーは、企業の方向性を定めたりはしません。それは企業が決めることだからです。従業員はリーダーから指示を求めるのではなく、価値のある貢献を求めているのです。

 本書は、「協働」「コラボレーション」がキーワードとなる今後のビジネス社会においては、リーダーは「方向性を定める」存在ではなくなったと述べています。明確な統率力を携えた特定の「頭(ボス)」はもはや必要ではないというのです。

リーダーシップは「リーダーシフト」へと移行しました。その中では、リーダーは非階層組織の一員となります。彼らのリーダーシップは、コラボレーションを促し、企業のコラボレーションで価値のある成果を生み出し、それを維持するストーリーの発展を促進する能力から成り立っています。このような変化は、4つの動向によって生み出されました。それは「従業員のデモグラフィック、専門技術、情報注目、デモクラティック」です。

 リーダーは「シフト」の時代へと移行していこうとしています。リーダーとノンリーダーの区別がなくなっていく時代を迎えていると言っています。では、これからの「リーダーシフト」を動機づける4つのキーワード、「従業員のデモグラフィック、専門技術、情報注目、デモクラティック」について見ていきましょう。

従業員のデモグラフィックの動向

今日の企業オフィスは、昔とは異なります。そこで働く人々の人種や民族、そして社会文化的背景はさまざまです。女性の職場での存在感は男性とほぼ同等ですし、彼女たちの仕事は秘書業務や事務作業だけではありません。また、年齢層も20代から60代以上と、幅広くなっています。

よって、職場の従業員はさまざまな態度を取ったり、さまざまな経験や考え、興味を持っていたりします。例えば、受付係の22歳のドミニカ人女性は、上級管理者の55歳の白人男性とは異なる信念や価値観を持っているでしょう。また、秘書課の管理者の43歳の黒人女性とも異なるでしょう。よって、リーダーを形作ってきた個人的な経験や考えは、率いる部下たちにとって、関連性がない場合があるのです。もし、自分を形作ってきた行いや経験に頼ってリーダーシップを維持しようとすれば、時代遅れになってしまいます。

 今後、オフィスの構成メンバーはさらに多様化します。性別も、人種も、年代も、あらゆる面において異なる個性と文化のアイデンティティを持った者たちの集合体となるオフィスにおいては、個人的な価値観や経験則が全員を統率していくことはもはや不可能です。

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