世の経営者・管理者よ、分かるかなあ?“自問と自省のすすめ”を生き残れない経営(3/4 ページ)

» 2011年03月07日 07時00分 公開
[増岡直二郎(nao IT研究所),ITmedia]

 (5)わたしはアンテナを張って事業環境の変化を察知し、事業や運営方法を見直しているか

 リーダーはそれぞれの成功軌道に乗ってここまで来たのだから、事業や業務の抜本改革を必要と思わないし、その上毎日毎日雑事に追い回されていては、抜本改革に気付きさえしないだろう。抜本改革で部下をクビにし、自分の侵したミスを認め、マネジメントスタイルを改めなければならないかもしれない。しかし、企業が生き残り、さらに発展するためには、事業環境の変化を素早く察知し、改革に手を付けなければならない。だから、時には自問自答しなければならないのだ。

 (6)プレッシャーがかかるとどのように行動し、それで部下にどんな信号を送っているか

 これは、誰でも日頃見過ごしてしまう極めて重要な内容だ。某中堅電機メーカーの開発会議席上で、製品Bの中核部品Cを外部調達から内部製作に切り替える計画が発表されたが、すかさずトップから「なぜわざわざ開発費を掛けて内部製作をするのか。外部調達を続けろ」と指摘された。それから半年も経たないうちに、B製品の人気が出て売れ始め、生産が顧客の要求に間に合わなくなった。生産会議の席上で話題になった。トップ「なぜ、生産が間に合わないのか」、担当部長「E社から購入の部品Cが間に合いません」、トップ「何? そんな重要部品を外部調達しているのか! 内部製作すべきだ」、出席者の多くは半年前の開発会議席上のトップ方針を思い出し、一瞬席上は凍りついた。その異常な雰囲気にトップは違和感を持ったらしい、「どうしたんだ?」、「どうして内部製作をためらうのか」、トップはだんだん怒り出した、「わたしの言っていることに間違いがあるのか!」、ものすごいい勢いで激怒し始めた。誰も発言しない。「内部製作に切り替えろ!」、トップは言い捨てた。

 プレッシャーを感じているリーダーを見た時、部下はリーダーについて多くのことを発見する。例えばミスを犯した時、自分の非を認めるのか、人のせいにするのか、冷静か、かんしゃくを起こすか、自己弁護をするのか。リーダーは、自分の言動を客観的に観察し、言動に注意し、部下のやる気を削ぎ、意気消沈させてはならない。

 だから、冷静に自問自答を試みなければならないのだ。

 (7)自分のリーダーシップスタイルは、本当の自分を反映しているか。自分に対する評価を気にして、手加減したり、自分の意見をためらったりしていないか

 ビジネスキャリアは、マラソンだ。自分に正直でなければ、疲弊する。本当の自分・スキル・価値観・性格などに従っていれば、型破りでも効果的だ。計算高い野心家は、対立や波風を避ける。上司が何を考えているか、不要なエネルギーを使う。自分の見解を素直に伝え、意見の対立や見解の相違を認めることは、優れた意思決定に必要だ。

 つい重大な問題を避けようとしていないか。だから、自問自答すべきなのだ。

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