キャプランは、「自問」すべてに正解はない、すべてに回答を出せとは言わない、時折一歩下がって自問自答をしろと、緩やかな提言をしている。しかし、そういう生ぬるい提言では、多くの経営者・管理者は自分に妥協してしまう。「自問自答」とその結果の「実行」を定着させるには、強制する方法を考えなければならない。
まず、経営者・管理者は「自分は、日頃反省をしているか」と素直に自問し、自分は上述の「反省しないタイプ」のどのタイプに当たるかを、自省することから始めるべきだ。
多くは、少なくとも(1)タイプの「怠慢」や「通り一遍の反省」に該当するはずだ。素直に、本当に素直に、この自問から始めなればならない。
キャプランの「自問自答」は、日頃の忙しさでつい疎かになり、時がどんどん過ぎる。筆者は、この点で多くの経営者・管理者を信用しない。誠に残念なことだが、強制する必要がある。キャプラン提言の「自問」項目の中で(3)(6)(7)をフォローアップすることは困難だが、少なくとも(1)(2)(4)(5)はフォローアップしようとたくらめば、できる。
フォローアップ可能な「自問」項目について、社内で管理者のあらゆる階層に発表させる機会を定期的に作るのだ。例えば、(1)では策定したビジョンは何か、それをどんな頻度でどういう形で部下に周知徹底しているか、その成果は、を発表させる。(2)では1〜2週間の行動を、1時間単位で記録させ、発表させる。(4)では例えば過去、筆者は後継者名を人事部門に年に1度提出させられた経験がある。(5)では事業戦略そのものの発表である。
自問自答は、文字通り自発的に行われるもののはずだ。しかし、その点で経営者・管理者を信用しない筆者の立場では、強制的な仕掛けがお勧めである。
増岡直二郎(ますおか なおじろう)
日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授