オフィス家具の販売やシステムインテグレーションを手掛ける内田洋行は、社内業務改善の効果を期待して数十台のiPadを採用した。導入にあたり、セキュリティなどシステム運用面への配慮が不可欠だったという。
IT機器の技術革新に伴い、オフィス環境も進化を遂げる一方である。そうした潮流の中、オフィスの空間デザインやオフィス家具の製造販売、システムインテグレーションなどを手掛ける内田洋行は2010年7月、オフィス事業部と情報システム事業部を統合し、新たにオフィスエンジニアリング事業部を発足させた。これも一重に、オフィスにおけるIT機器の活用を推し進め、新たなワークスタイルを顧客に提案するノウハウを蓄積するためである。
その取り組みの一環として、同社は翌月8月、33台のiPadを社内導入した。内田洋行の情報エンジニアリング事業本部 オフィスエンジニアリング事業部ネットワークテクニカルセンター部でネットワークサービス1課課長を務める竹下敦司氏は、その狙いを次のように説明する。
「当社はオフィスのグリーン化のために、従来からペーパーレス環境の実現に取り組んできた。オフィスに目を転じれば、膨大な書類の管理に多くの企業が悩まされているのが実情だ。そこで、管理職を対象にiPadを配布することで書類の電子化を実現し、そこで得たノウハウを各種のソリューション開発につなげようと考えたのだ」(竹下氏)
実は同社では、内部統制の強化を目的に、上長の承認を得るまでは業務が次のステップに進むことを防止するワークフローが存在しており、今までは承認者にノートPCを配布して外出先からでも承認作業ができる環境を整備してきた。ただし、ノートPCだとネットワークに接続できる場所が限られているなど使い勝手に問題があった。その結果、承認の遅延により業務が非効率になる事態が散見されたという。
だが、iPadであれば、3Gでの通信は首都圏エリアのほぼ全域で行えるほか、重量が700g程度で起動も早いため、使い勝手が格段に良い。内田洋行がiPadに着目したのは、その採用を通じて承認業務を抜本的に改善できると見込めたからでもあった。
導入に際しては従来から採用を検討していたマイクロソフトのオンラインサービス「BPOS(Business Productivity Online Standard Suite)」の利用も併せて開始した。これは、メールをはじめとする各種データを社内システムからクラウド上に切り出すことで、iPadでそれらに容易にアクセスできるようにするためである。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授